大分建設新聞

特集記事

宇佐北部中学校の土木未来教室  

宇佐土木事務所が県立歴史博物館と中津日田道路で

2022年04月30日
 宇佐土木事務所は3月17日、宇佐市立北部中1年生44人を対象に、郷土の歴史を学び、建設業の魅力を紹介することを目的に土木未来(ときめき)教室in北部中学校を、県立歴史博物館(宇佐市高森)と中津日田道路工事現場(中津市本耶馬渓町跡田、三光本耶馬渓道路)で開催した。

 藤内修一宇佐土木事務所長が、あいさつに続いて土木未来教室の目的、全体スケジュール、午後は中津~日田間で工事中の自動車専用道路の現場を見学すること、その際に安全上で注意することなどを説明した。
 まず、宇佐のことを知ってもらうために、大分県歴史博物館の谷川芳明館長が、なぜ宇佐に県立の博物館が存在するのかということに触れ、宇佐には九州で最も古い古墳があり、大和の都と密接な関係にあったこと、大事な遺跡がある宇佐は県として調査研究をしながら大切にしようということを話した。また、宇佐神宮の八幡神が全国に広がっていったことを付け加え、宇佐は歴史的にとても凄い地だと強調した。


【宇佐市役所から】
 宇佐市役所建設水道部都市計画課の中島博史主任が、市役所での土木技師の仕事について説明した。
 市役所の組織の中で、どこで土木技師が働いているかを実際の課の名前を挙げて説明した。耕地課では、堰や農業排水路、農道の整備をはじめ災害時には農業用施設の復旧の仕事をしていること、林業水産課は木材を運搬しやすいように林道の整備や港の浚渫などの維持管理を行っていることを説明。土木課では新しく市道を新設、拡幅という整備のほかに、傷んだ舗装や橋梁の修繕などの維持管理も行い、上下水道課では安心安全に水道を使えるように整備を進めていることを話した。一方、建設水道部ではインフラ整備を行っており「今ある施設の維持管理が中心になるが、皆さんの生活に欠かせない重要な仕事だ」と話した。
 最後に、実際に携わった事業と現在進行中の事業をを具体的に挙げて、市街地の活性化につながるまちづくりを行っていることを分かりやすく説明した。

【大分県宇佐土木事務所から①】
 企画・道路班の小野沙耶香技師が、まず、なぜ土木技術者を目指したかということ、地元で仕事をしたかったこと、県内の転勤はいつも新鮮な気持ちで仕事ができるのではと考えて、県の職員になったことなどを話した。
 土木事務所の企画・道路班の仕事は、設計や測量の会社と協力して設計図を作り、関係者への説明を経て、施工会社へ発注を行い、工事中は設計図通りにできているかを確認するという、すべての工程に関わる仕事ということを説明し「できた後は皆さんが気持ちよく使えるように管理する」と話した。
 実際に行っている中津高田線の柳ヶ浦バイパス事業を例に挙げて、交通量を分散させて渋滞や事故を解消させるのが目的だと話した。ほかにも施工中の事業を取り上げ、「日々の工事の進捗が見えるのが楽しい」と言い、やりがいも付け加えた。
 最後に「コロナ禍で我慢する時代だが、学校の友達や先輩、後輩と過ごす時間を全力で楽しんで」と結んだ。

【大分県宇佐土木事務所から②】
 河川砂防班の田渕愛佳技師は、まず、「地元で仕事をしたかった。土木の仕事の中で計画から完成までのすべてに携われるから」と県庁に就職した理由を話した。
 河川砂防事業については、駅館川の河川改修事業を挙げ、その背景にある災害と、その復旧における防災の内容を具体的に説明した。
 『砂防』は聞いたことがないかもしれないが、土砂災害を防ぐ事業。大分県は山地が多く土砂災害の起きる危険性も高い。土砂災害を防ぐために砂防ダムや擁壁工、法枠工で山の斜面が壊れないようにコンクリートで固めると実例で紹介した。
 最後に「公務員というとデスクワークのイメージがあるが、土木事務所で働いてみると(外に出て)地域に寄り添った仕事で、地元からの感謝も得られる仕事。転勤で大分県に詳しくなる」と実感を話し、「将来についてはあまり悩み過ぎずに色々なことにチャレンジを、先に発見がある、失敗を恐れずに。クラスメイトは将来働き出したときにいろんなことで力になる」とアドバイスした。

 藤内所長が午後の現場見学会の概要を説明する中で、大分県が九州の東の玄関口といわれること、その中での中津日田道路の重要性、効果、工事概要、工事の進捗などを挙げ、我々は道路を作るのが目的ではなく、皆さんに使ってもらうことにより経済活動や観光で豊かになってもらうことが目的だと強調した。






【県建設業協会から】
 宇佐支部から下村建設の下村潔代表取締役が建設業について説明した。
 建設業を語る中で、災害を未然に防ぐ仕事や災害時の復旧の仕事について話した。実際に下村建設が携わった熊本地震の際の災害復旧の工事について、災害直後の写真から工事の動画を交えて新阿蘇大橋の建設工事を分かりやすく説明した。道がまったくない状況からの工事で一日も早いライフラインの復旧が求められるなかで、3年8ヵ月の予定工期を1年4ヵ月も短縮したことは凄かったこと、そのために行った作業足場と型枠が一体化されたセルフクライミングシステムにより作業効率の向上を図ったことを説明し、日本の土木技術の高さを話した。
 最後に「大分でもいつ地震が起きるかわからない。建設業は災害時に皆さんが一日でも早く普通の生活に戻れるように防災や災害復旧に日々努力しており、土木事務所や市役所の皆さんと協力している。家族や地域を守ることもできる建設業に一人でも多くの人が興味を持っていただければ」と話を結んだ。

【館内見学】
 職業講話の後は、博物館の館内見学をした。

【現場見学会】
 午後からは、中津市本耶馬渓町跡田の三光本耶馬渓道路跡田川橋上部工の工事現場に場所を移して現場見学会をした。
 まず、国土交通省九州地方整備局大分河川国道事務所の鶴田健太郎建設監督官が工事の全体概要を説明した。

 工期は21年7月31日~22年8月31日で、橋長は60㍍、構造形式はPC2径間連続ラーメン中空床版橋、支間は29㍍+29㍍、有効幅員は19・660㍍~28・044㍍。
 続いて施工業者のオリエンタル白石㈱福岡支店から工事部土木チームの中原一郎担当課長が、跡田川橋の現場施工ダイジェストとして、①着工前②支保工組立(トラス梁)③支保工組立(くさび式支保)④型枠組立⑤鉄筋・円筒型枠組立⑥鉄筋組立⑦コンクリート打設1⑧コンクリート打設2⑨現在の状況というように、写真パネルを使用して分かりやすく説明した。

 同じく現場代理人を務める同チームの江中剛担当副部長がコンクリート技術について話をした。
 コンクリートとはという説明に始まり、中に鉄筋を入れて強度を増す。さらに、PC鋼材という鉄の5~6倍の強度を持つ素材を使って強度を増すことを説明した。鉄筋コンクリートの板とPC鋼材コンクリートの板の強度の違い、また、コンクリートの中にPC鋼材を入れる場合の位置の違いによる強度の変化をクイズ形式でモデルや図を使うことにより、橋を作る原理をとても分かりやすく興味をひく説明をした。
 説明の後、中学生の希望者に実際にコンクリートの板の上に乗ってもらい、その強度を実感してもらった。

 そして、橋梁に上ってPC鋼材の配置や鉄筋の入っている状況を見学した。
 PC鋼材の強度を上げるためには引っ張る力を与えるが、橋には約30本のPC鋼材が入っているので6000~7000㌧の力を与えること、そして、そのときこの橋は10㍉ほど縮むことを説明した。PC鋼材をジャッキで伸ばして、桁端に定着した反力により、桁は縮むことになる。

 また、周囲の工事の進捗を合わせて話し、完成したときのインターチェンジの様子が理解できるように説明した。

 次は、技術部技術チームの秦裕昭担当副部長がドローンを飛行させて、工事現場を空から映した映像を見せた。最後に、ドローンによる集合写真を撮影して橋梁の上での現場見学を終了した。

 追加して、下屋形トンネル(1335㍍)も見学した。
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