大分建設新聞

インタビュー

梅木 裕次郎さん(日田土木事務所長)

2022年05月16日
略歴~宮崎大学土木工学科を卒業後、県職員に。日田土木事務所次長、本庁河川課防災調整監、玖珠土木事務所長、日田市土木建築部長(派遣)などを経て今年4月から現職。
 日田土木事務所は5回目の任地になる。2020年度から2年間は日田市に派遣され、土木建築部長を務めた。「日田高校出身なので高校時代の友人も多い。日田市は市民の行政に対する関心も高く、部長時代は市民の要望などを受ける中で、今まで気づかなかったことに気づかされ、とても勉強になり改めて身の引き締まる思いをした」と話す。
 また、15年度から日田土木の次長として勤務していた翌16年、熊本地震が発生し、国道212号(日田市大山町)が土砂崩れにより寸断、約半年ほど通行止めを余儀なくされた。復旧工事では、地形上の問題から土砂崩れの箇所まで山の裏側からモノレールを設置して重機を運び入れるという厳しい作業を強いられた。「住民の方々に理解してもらい、少しでも安心していただくためにマスコミなどにも情報提供を行い、作業が順調に進んでいることを知らせた。この時、いかに情報発信が大切かを身に染みて感じた」と当時を振り返った。
 日田土木は、近年の災害による復旧工事の箇所が多い。「職員は地元出身者もいれば単身赴任者もいる。仕事の業務量が多いため、全員の頑張りによって災害からの早期復旧につなげている」と、所内の一致団結を述べた。
 管内の事業では、まず「2017年北部九州豪雨と令和2年7月豪雨からの早期復旧に注力したい」と話し「特に今年度採択された『玖珠川河川改修事業』を進めるとともに、日田市が今年度から始める『天ケ瀬温泉街復興まちづくり計画』にも積極的に協力し、県と市の両輪で天ケ瀬温泉街の復興を進めていきたい」と、日田市との協力活動への意欲を見せる。
 そして日田山国道路(中津日田道路)については、「現在1号トンネルの避難坑と5号トンネルが発注済みとなっており、2号トンネルから4号トンネルおよび日田(工区)の拡幅(4車線化)事業も、これから用地取得などを進めていきたい」と話す。
 そのほかの事業計画でも、急傾斜地や土砂災害危険区域が多い管内だけに「引き続きしっかりと対策を進めていく」とし、また「日田は歴史的に交通の要衝として栄えたことも思い起こし、地域交通網の整備にも積極的に取り組んでいきたい」と語った。
 建設業界への思いについては「地域経済の基幹産業であり、インフラの整備だけでなく、災害時には早急の道路啓開など復旧工事に取り組んでくれる。いかなる時もなくてはならない地域の守り手であって感謝してもしきれない」と話した上で、業界が抱える担い手不足問題は「官民共通の課題であり、建設分野で働くことが子どもの夢になっていくような取り組みを業界の方々と一緒に進めていきたい」と、さらなる連携に期待を寄せた。
 座右の銘は「誠心誠意」。地域住民の声を真摯に受け止め、建設業界とも密なコミュニケーションをとるという、梅木さんがこれまでのキャリアの中で培ってきた実感が込められている。
 趣味は、ドライブや旅先での写真撮影。テレビ番組に応募(投稿)して取り上げられたこともあるほどの腕前。さらに今年の4月から念願の大好きな豆柴(犬)を飼い始め、楽しい散歩が日課になっているという。九重町出身の59歳。
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