大分建設新聞

インタビュー

岡本 文雄さん(県防災局長)

2022年06月01日
略歴~熊本大学を卒業後、県職員に。東京事務所参事、都市・まちづくり推進課長、日田土木事務所長などを経て、今年4月から現職。58歳。
 「2年連続でインタビューを受けるとは思わなかった」と少し驚いたような笑顔で迎えてくれた。
 防災局の仕事は自然災害などへの対応だけだと思われがちだが、消防保安と日出生台演習場での訓練対応の3本柱を中心に、危機管理を担う分野は広く多岐にわたる。さらに縦横に広がる大きな組織で構成される体制の中で「正確で速やかな行動の元となる情報を管理、伝達する」のは重く、難しいと説明する。
 「防災は地方自治体の最重要課題」と前置きし、重責を担う防災局のトップとして「これまでに培ったノウハウと人脈を最大限に活かしながら、新たな防災行政の展開に果敢にチャレンジしていきたい」と力強く抱負を述べた。
 土木建築部の技師として入庁した岡本さんは「企画調整課、東京事務所、交通政策課という他部局で通算6年間勤務したが、生活環境部は初めて」と話す。
 国や他県、県内の市町村、庁内のすべての部長などさまざまな組織との対応を求められる防災局長というポジションには、むしろその経歴が相応しく、それはいつも冷静かつ的確でスピーディーな発言を行う姿に頼もしく表れている。
 防災局としてはもちろんだが、県民も自然災害の頻発・激甚化だけでなく、今後30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は70~80%だということを念頭に置かなければならない、と戒める。「災害による人的被害をゼロにするためには、県土の強靱化というハード面と、被災情報の早期収集や早期避難の習慣化などのソフト面の対策も非常に重要だ」と、県として両面から力を入れることを強調した。
 具体的には、防災行政のさらなる高度化で、大分大学などと共同で開発した防災・減災プラットフォーム(EDiSON)や衛星の活用など「防災テクノロジーを産学官で構成する県防災への先端技術の活用に関する検討会(防災テック)で議論を深め、さらに進化させたい」との方針を示す。もう一つは、防災啓発の推進で「おおいた防災アプリに家族グループ機能などを追加し、より多くの県民に活用してもらうことによって早期避難を促進させたい」と、広報の必要性も強調した。
 建設業界には「土木建築部に在籍した30年余りの間に、社会インフラ整備に尽力していただいたことに感謝の気持ちでいっぱいだ」としながら、「災害時にはいち早く駆けつけ、地域の環境を熟知している皆さんには、防災局としても頼りにしている」と、これからの信頼関係の重要性を語り「最近は建設現場でも防災でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されている。魅力ある建設業の実現のために、ぜひDX推進にも協力をお願いしたい」と期待する。
 職責で県庁の近くに住む岡本さんは、大分川河川敷をジョギングしてストレスを汗に換えている。最近よく読む稲盛和夫氏の本から「人生の方程式の結果は考え方と熱意と能力のかけ算だ」という言葉を胸に刻んでいるという。この中で一番重要なのは「考え方」と話し、大切な職務へ意気込みを示して話を結んだ。
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