大分建設新聞

インタビュー

工藤 秀明さん(豊後高田土木事務所長)

2022年06月08日
略歴~1984年大分高専土木工学科卒業後、県職員に。宇佐土木事務所を初任地に別府土木事務所、中津土木事務所中津日田道路建設室長、企業局総合管理センターダム管理部長などを経て4月から現職。
 「県北には赴任歴もあり馴染みのある土地だが、豊後高田土木事務所は初めての勤務」と語る工藤秀明所長。豊後高田市の人口は約2万2000人で、保育料・給食費・医療費無料など、全国トップレベルの子育て支援政策に力を入れているのは周知の話。
 「まち全体がゆったりしていて、住みやすい印象。災害も比較的少なく、インフラ整備、特に道路に関しては国東、別府に続いて県内で3番目に整備が進んでいる地域でもある。しかし油断は禁物。大雨や地震など避けようのない災害に対して、砂防ダムの整備や土木インフラの老朽化対策を進めておく必要がある」と管内の印象を語る。
 重点事業では「新城山香線の3ヵ所の道路改良事業の早期完成を目指していきたい。梅木北工区は今年度に完成予定、梅木南工区は事業継続中であり、田染蕗工区に関しては今年度から着手する」方針。新城山香線は、国宝富貴寺や真木大堂など、市を代表する観光名所をつなぐ道であり、観光客が利用するに当たって整備が欠かせない路線。アフターコロナの観光人気・インバウンド需要の回復を想定して、大型バスなどが通行できるように整備を進めておかなければならない、というのが工藤さんの構想だ。
 また「子育てしやすい、子どもに優しい環境整備を実現すべく、新地(市内)の通学路での安全な歩行者空間の確保、ガードレール設置などの交通安全対策や、朝日川での渓流保全工などの事業も確実に行っていきたい」と、地元で暮らす市民の目線から見る土木工事も忘れない。
 今後の課題については「やはり後任の育成。若い人にこの業界に入ってもらうための働きかけが欠かせない。これについては官民同じ課題を抱えている。土木未来教室や現場見学など、子ども達に土木のイメージアップを図っていくことが大切。今はSNSなどで発信も受信も手軽にできる。活用しない手はない」と言う。さらに工藤さんは「事業と機械があっても、結局はそれを動かす『人』の三つが揃わなければ進まない。土木インフラの整備を通じて地域発展に寄与する、と言っても、それを続け、守る担い手がいないと、市民の生活を守れない。人財育成は喫緊の課題」と熱く語る。
 最近の建設業について聞くと「国を守る基盤であり、財産。災害に強いものをつくっていくことが前提だが、発生してしまった災害からの、できるだけ早い復旧は、業界の皆さんの力なくしては成り立たない。今後も地元の建設業者の方としっかり、一緒に、市民生活の安全・安心に取り組んでいきたい」とメッセージを送る。
 趣味は釣り。昨年から始めたアユ釣りが楽しく「投網と友釣りに今年は挑戦したい」と意気込む。最近はコロナで叶わないが、出雲大社などへの神社参りも趣味の一つ。「皆さんと一緒で、早く自由に旅行に行ける日が来ることを願っている」と微笑む。大分市出身の58歳。
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