大分建設新聞

インタビュー

高野 剛さん〈宇佐土木事務所長〉

2022年06月15日
略歴~福岡大学土木工学科を卒業して1990年入庁。玖珠土木事務所を振り出しに、大分土木事務所道路保全課長、中津土木事務所次長、道路建設課参事などを経て、今年4月から現職。54歳。
 宇佐管内の勤務は初めてという高野さんは、宇佐平野の雄大さに驚く。穏やかな海、肥沃な平野、水量豊かな河川、緑深い森林など多様性に富んだ環境と多くの文化遺産を保有する地域の魅力に加え、交通インフラも充実した地域だ。「このような豊かな資源を生かした公共事業に取り組みたい」と、高野さんは抱負を述べる。
 赴任して事務所職員には三つのことを伝えた。
 一つは、風通しの良い職場にすること。部下から相談されないのは上司の責任と手厳しい。自らの職場にとどまらず、縦の関係だけでなく他部局との横の関係を重要視する。「まずは県の他部局である振興局、そして宇佐市、業界の方々、地域の方々と情報の共有だ」と語る。それは、人を知ることであり、共有の意識を持たないとできないことだと強調する。
 そこには、県のプロジェクト事業に多く参画してきた高野さんが各事業者、地域と一体となって進めてきたこと、話し合いや根回しを重ね、紆余曲折する状況を調整してきた経験から身に着けた裏付けがある。中でも東九州自動車道整備のためNEXCO駐在時の仕事で日程管理の重要性を学び、仕事の工程表の引き方を習慣化できたことは大きい、と語る。
 二つ目は、危機管理の徹底。県民から最も期待されている土木事務所の業務だと断言する。さらに「危機が起こる前のシミュレーションを必ずやっておくこと」と念を押す。そして「危機管理の肝は管理者がパニックにならないこと」と、冷静な判断を自分にも求める。
 三つ目として、仕事の能率アップはマインドコントロール。すなわち、考え方のコントロールであり、そのためには「余暇の持ち方を大切に」と促す。
 重点を置いている事業は、国土強靱化5か年加速化の予算を最大限活用することとし、用地取得の重要性に重みを置く。「地域の方々や地権者に納得してもらえる説明力、つまり客観的な視点で伝える力が必要だ」と自身の経験を重ねて強調する。しかし「うれしいことに職員はすでに理解しており、年度当初から積極的に地元対応に奔走している」と心強さを感じている。
 建設業界には、社会基盤インフラの計画、設計、施工から維持管理まで国民の生活に必要不可欠な存在と前置きし「災害発生時には初期対応から応急対応まで地域の雄としての存在感は大きく、地域の安全安心の源だ」と感謝の意を表する。
 一方で、人材不足による業界の体制維持の深刻さに目をやり「人材の増加が実現するまではDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用による生産性向上しかない」と言い切る。一緒にDXの活用の機会を考える中で「多様性の業界への産業革命的発展を」と期待を寄せている。
 座右の銘は慣性力。最初に押す力、加速度が大切で、動きだせば誰かが一緒に押してくれると、人とのつながりを大切にする。ジョギングに汗を流し、スポーツ観戦、とりわけトリニータに一喜一憂してストレスを解消する。
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