大分建設新聞

インタビュー

清永 隆志さん(竹田土木事務所長)

2022年06月16日
略歴~1992年九州工業大学を卒業して県庁入り。日田土木事務所次長兼建設課長兼中津日田道路建設室長、土木建築企画課参事(総括)などを経て4月から現職。54歳。
 「策定中の竹田市総合計画などと連携して、地域活性化に向けた基盤整備を進めたい」。清永さんの新任地での抱負の第一声である。
 企画振興部の観光地域振興局で地域づくりに携わった経験があり、団塊世代への田舎暮らしでどれだけ大分県をアピールできるかに知恵を絞った。それだけに地方活性化には力がこもる。当時の竹田の建設業界には、空き家をリフォームして提供するNPOがあり、インターネットでの情報発信などで一緒に活動した。清永さんは「今まさにまいた種が実った」と竹田との深い縁を実感する。
 一方で、大分駅付近連続立体交差事業をめぐるメリットの恩恵や予算の配分についてJR九州と協議した経験、日本道路公団に出向中の大分道4車線化事業での高速道路建設の品質管理の厳しさ、またスポーツ公園の建設ではドーム以外の部分を担当してサッカーのワールドカップ、国体と、それぞれの条件や規格をクリアしながらの設計というプロジェクトなどを経験して得た、多彩な能力を活かして、竹田での取り組みをしっかりと見据える。
 日田土木事務所勤務時代には、令和2年7月豪雨災害と日田山国道路建設の工事着手を経験しており「建設業界との普段からのコミュニケーションがどれほど大切か」と改めて強調する。
 建設業は、社会資本の着実な整備や維持管理を担い、頻発・激甚化する自然災害への備えから復旧・復興を行う地域の守り手。それだけに重要な建設業の担い手不足や育成という課題に対して「業界の魅力向上や働き方改革の推進などに一緒に取り組んでいきたい」と心強い。
 そして建設業界の仕事の成果の魅力に触れ、受注者、発注者の境はなく、土木屋として「まずは自分の仕事に誇りを持ち、仕事の成果に充実感を得る」という技術者のメッセージを業界に添えた。
 清永さんは事務所の運営にあたり、極めて純粋な技術者魂に加えて豊富な経験をベースに二つの方針を職員全員に伝えたという。
 一つは、目的は何かを常に意識すること。そうすれば仕事の効率が上がり、内容も向上するきっかけになる。すなわち業務改善につながる。
 もう一つは、事業目的を共有し、業務や現場の進捗状況を共有しての「報告」、事故や災害情報は続報ありきで、遅れず速やかに「連絡」、最初はわからなくて当然、1人で考えず、まず「相談」から始まる「ホウ・レン・ソウ」の徹底。
 「限られた人材、組織、予算を効率的、効果的に活用し、主役の県民とともに進める土木建築行政が必須だ」と目的と情報共有がいかに大切かを説く。
 玖珠土木の時代に管内道路を知るために始めたロードバイクが、今や貴重なスイッチの切り替えに役立っている。「人事を尽くして天命を待つ」を座右の銘に、まずは人として出来る限りのことにチャレンジすると明言して話を結んだ。
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