大分建設新聞

インタビュー

渕野 勇さん(豊肥振興局長)

2022年07月01日
1989年県職員に。宇佐事務所(耕地課)を初任地に商工労働企画課、教育委員会、財政課財政企画監、障害者社会参加推進室長、市町村振興課長、農林水産部審議監などを経て、4月から現職。
 「豊肥エリアは初めての赴任地。今は『はじめまして』の方と会い、地域のさまざまなことを知るのが楽しい」と語る渕野さん。和やかに話す中で、その任務内容の多彩な遍歴に驚かされる。
 「交通対策局、福祉保健部、商工労働部など建設関係以外の部署が多かったんですよ」と、謙遜して話す様子が印象的。
 豊肥地区への赴任にあたって、振興局管内の印象を尋ねると「人柄も親しみやすく、環境面では地域資源が豊富にある場所だと感じている。特に豊肥地区独特の、阿蘇山の噴火がもたらした土壌環境は、農業振興の面では最大の魅力。これからの希望が持てるキラキラした地域だ」と大きな期待を込めて語る。
 農業産出額の減少や、経営体数(農業従事者)の落ち込みなどが懸念される県農業についても触れ「野菜、畜産などで県の約3割の農業産出額を抱える豊肥地区での取り組みが、県農政再生の鍵を握る」と言い切る。
 今後の注目する管内事業について尋ねると「2021年10月に発表された、農業システム再生に向けた行動宣言(大分県農業総合戦略会議最終とりまとめ)の現場への落とし込み、具体的な施策を急いで進める」のが目標。
 「県の顔となる短期集中県域支援品目(白ネギ、ピーマン、高糖度カンショなど)の生産拡大には既に着手しており、時間をかけずに産地を大きくしていきたい。豊肥は農地基盤が整っている場所が多いので、それらを有効利用しつつ、園芸品目の生産拡大に向けた、ほ場や施設などの整備をさらに推し進めていく」と渕野さんは力強く語り「効率的に農業を進める上では、ICTの利用環境の整備も欠かせない」と付け加えた。
 建設業界に対しては「この地域は、毎年のように起きる豪雨災害に悩まされているが、皆さまのおかげで何とか復旧できてきた。また、完成間近な玉来ダムも住民にとって安心できる明るい話題」と感謝を述べる。さらに「農業振興のためには、産地拡大のための新たな基盤整備、先人が整備してくれた畑かん施設など農業水利施設の適切な維持管理や補修更新が必要不可欠」とし「大蘇ダムの水を利用した営農パイプラインの敷設工事などもある。業界の力添えを今後も宜しくお願いしたい」と地元業者との協力関係を強調した。
 県の農政を豊肥エリアから牽引していく―その決意は揺るがない。前任の農林水産部審議監の時に進めてきた計画、戦略を、どう現場に落としこみ、芽を出し成長させていくか―未来を見据えているのだろう。
 オン・オフスイッチの切り替えは、夜に嗜む晩酌。酒類はビール、日本酒、ワイン、焼酎など幅広いが、最近では豊肥エリアにある地域の酒蔵巡りを楽しんでいる。笑いながら「量は少しですよ」と付け加えた。大分市出身の56歳。
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