大分建設新聞

インタビュー

稲葉 修さん(原田コンクリート㈱日田工場)

2024年01月26日
 セメント、生コンクリート、コンクリート二次製品、建設資材販売などを扱う㈱原田興産グループ(本社・熊本県小国町)では、2050年のカーボンニュートラルへ向けた取り組みを加速している。グループ内で脱炭素化・低炭素化の動きを主導する原田コンクリート㈱日田工場の稲葉修工場長に話を聞いた。
 同グループは、数年前から脱炭素化へ向けた「サステナブル部会」を若手中心に設立。「まずは、できることから」を合言葉に、アイドリングストップから取り組みを始めた。そして、23年4月に會澤高圧コンクリート㈱(北海道)を軸とした全国の主要メーカー50社が集まったコンクリート政策集団「aNET ZEROイニシアティブ」に参画した。
 同集団は、最先端の脱炭素系コンクリートを社会へ普及させることで、サプライチェーン排出量の「NET ZERO(温室効果ガスの排出が正味ゼロ)」を、「50年のカーボンニュートラル実現」より、前倒しで実施する。メーカーごとに目標年を決めており、原田興産グループでは44年を目標にしている。
 建設業全体の二酸化炭素排出量の3割は、セメントやコンクリートになっており、脱炭素化の推進は欠かせない。「私たちは流れに乗るため、すでに根固め4㌧型で再生混和材である高炉スラグを使った低炭素コンクリートを生産している。今は、高炉スラグにバクテリアと植物原料のポリ乳酸を成分としたバジリスクという混和材を加えた低炭素製品の製造を進め、広く普及させたい」と意気込みを語る。
 バジリスクは、ひび割れに対して自己治癒力がある。バクテリアがコンクリートの高アルカリ環境下では長期にわたって休眠し、ひび割れが発生して水や酸素が浸入してくると活動を始める。そして、ひび割れを自己治癒してコンクリートの中性化を遅らせるという。「自己治癒ができることで耐用年数が長くなる。例えば65年でつくり替えていたものが100年持ったらどうだろう。壊してつくり替える作業が減ることで、結果的に二酸化炭素の排出も減る」とメリットを強調する。
 すでに北海道や沖縄県で、バジリスクを使用した、河川改修のボックスカルバート製作などで実績があるが、九州では数例しかない。「高炉スラグやバジリスクが入った低炭素製品は単価が高くなる・設備投資が必要など、使用するにはハードルが高い。設計段階で低炭素製品の使用を明記してもらうなどの取り組みも必要。また、総合評価の技術提案にも活用してほしい」と、普及へ向けての課題も多いようだ。
 「私たちは全国のメーカーと協力してバジリスクの活用など、脱炭素化へ向けた取り組みを加速させている。自然の中で使うのなら脱炭素・低炭素の製品がいいだろう。小回りが利く地場企業として、これからも地域社会への貢献はもちろんのこと、地球にやさしい製品づくりを続けていく」と思いは熱い。
 問い合わせは、原田コンクリート日田工場(℡0973〈28〉2221)まで。
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