大分建設新聞

インタビュー

法野 裕二郎さん(大野川上流開発事業事務所長)

2024年04月10日
1990年入庁。北部振興局農林基盤部、県東京事務所、県農村整備計画課などを経て4月から現職。
 宮崎大学農学部農業工学科農業土木コース(当時)に学び、入庁後も「農業土木一筋」という法野裕二郎さん。4月に本庁から異動になったばかりだが、竹田市荻町にある同事務所勤務は2回目、企画管理課長補佐を務めていた当時から5年ぶりの赴任だ。大野川上流地区の総合的な土地改良事業の推進と用水施設、農道およびほ場など生産基盤の整備を行っている。
 赴任早々、課長補佐時代に知り合った農家にあいさつに行ったところ、「私を覚えていてくれました」とうれしそうに語る。「地元の要望には真摯に耳を傾け公平性・平等性などに配慮しながら、要望に応える努力をする」のがモットーと述べた。
 近年、農家は後継者不足が悩みの種だが、荻地区は若い担い手が増えているという。農業大学やファーマーズスクール出身の新規就農者、親の後を継ぐケースが少なくないという。「管内には露地栽培のスイートコーン、キャベツ、ニンジンや施設野菜のトマトなど、美味しい野菜が豊富。露地トウモロコシは夏場に限られるのでハウスものも出てきた」と地元産品への期待は大きい。
 大野川上流地域では、水不足が懸念されるが、県営大谷ダム(熊本県高森町)は建設後84年が経過し、老朽化とともに有効貯水量150万㌧に対し、これまでの堆砂により約70万㌧と激減している。2020年に供用開始した国営大蘇ダムの用水供給機能が万全ではないため、地元土地改良区からは大谷ダムを健全化し安心して営農できる用水供給機能の回復を求める声が上がっていた。
 そのため大谷ダム改修は、県が昨年11月、国に申請し23年度末に事業採択されたところだ。県は24年度の一般会計当初予算に1億5000万円を計上し、測量や設計に着手する予定。工事内容は、打増コンクリート(フィレット)、仮設工(工事用道路、水替え工)、残土処理工、浸透抑制対策。総事業費は約120億円。重機により40万㌧の堆砂土を除去し、耐震性向上のため堤体に打増コンクリートを施工して安定度を確保する計画だ。しかし、大谷ダム周辺は地形が急峻なこともあり仮設工事などに困難が伴い、農閑期に水を抜きながらの工事になることもあって堆砂土の除去に16年を要すると見られる。
 その他の主な事業は、畑地かんがいの整備4地区、水路整備5地区、農地再編整備6地区、農道整備1地区―県下有数の野菜生産地帯の効率的な営農体系の確立を目指す。
 建設業界に対しては「ICT技術を活用した発注に取り組むとともに、業界との意見交換を密に行って改善に努めたい」と熱がこもる。
 プライベートでは、孫と遊んだり、絵本を読んで聞かせるのが一番の楽しみ。「先日は焼肉屋で大暴れ(笑)。可愛いですね」と頬が緩む。もうすぐ2人目の孫が産まれるのを心待ちにする56歳。
 

大谷ダム(下流側から望む)
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