大分建設新聞

インタビュー

五ノ谷 精一さん(県土木建築部長)

2024年05月16日
大分市出身。1989年に県庁入り。大分舞鶴高校卒業後、熊本大学大学院工学研究科修了。宇佐土木事務所長、河川課長、建設政策課長、佐伯土木事務所長、土木建築部審議監を経て現職。
 県土木建築部長就任に当たって、4月1日の課長会議出席者に次の3点を掲げた。①強靱な県土づくりの推進(安心)②広域交通ネットワークや九州の東の玄関口の拠点づくりの推進(未来創造)③建設産業に関わる人材の確保・育成―を挙げて協力を呼び掛けた。技官として県庁入庁以来、一貫して土木建築畑を歩いてきただけに的確な目標設定であると同時に決意表明でもある。
 まず、新規事業として安岐ダム再生事業を挙げる。堤体を2・6㍍かさ上げするもので、事業費は約145億円とされる。1972年に整備された安岐ダムは、27年前、想定を超える量の水が流入して大きな浸水被害に見舞われたことがあり、今後も貯水量を上回る豪雨が降り限界を超える恐れがあるとして、かさ上げ事業化に踏み切った。
 「県内では、玉来ダム(竹田市)が完成した。続いて安岐ダムに事業着手できたことに安堵している」と話しながらも気持ちが引き締まった表情だ。「自然災害はいつ起きるか分からない。早期の復旧・復興が重要」と話し、そのためには建設業界との連携が欠かせないと話す
 建設業界について「県土の強靱化のため、現場で直接対応に当たっている業界の皆さんに対しては、感謝に堪えない」とたたえた。
 建設人材確保では業界と連携した取り組みを強調。選ばれる業界となるべく働き方改革の推進、生産性の向上、業界の魅力度アップを目指すとした。施工関係では工事書類の簡素化、着工前年度における支障物件の事前調整などを行い、設計労務単価の引き上げ、生コン、アスファルトの市況調査を毎年行い、価格高騰にも対応している。
 また、DXの推進をさらに進める。すでにICT対象工事は33工種まで拡大させるなど力を入れており、2024年度は支援事業として条件を満たせば補助上限額を100万円から150万円に引き上げる。20年から取り組んでいて好評を博している県建設産業女性活躍加速化促進事業(BLOCKS)を24年度にも実施するほか、おおいた建設人材共有ネットワーク(BUILD OITA)による建設業担い手の確保・育成にも力を入れている。
 審議監当時は、若手経営者対象に座談会を開いており今後も継続するほか、21年から開催している土木建築フェスタにも昨年から県として共催している。
 最後に建設業界に対して「地域になくてはならない存在。一方で業界の皆さんからの声も聞きながら、しっかりスクラムを組んで社会資本の整備に取り組んでいきたい」と抱負を述べた。
 趣味はジョギング、スポーツ観戦。最近は草花の手入れに余念がない、59歳。
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