大分建設新聞

インタビュー

多田 耕治さん(佐伯土木事務所長)

2024年05月20日
1989年の入庁。初任の都市計画課を振り出しに主に港湾等で経験を積む。大分港振興室長、豊後高田土木事務所長、工事検査室長、港湾課長などを経て、今年4月現職。
 佐伯土木事務所の勤務は、2015・16年度の管理・保全課で総括を勤めて以来の9年ぶり2回目。「管内の国・県道のほとんどは知っているつもりでも、急傾斜地や砂防の現場は知らない場所が多い。九州一の市面積を誇る佐伯市は、生活を支えるインフラは確実に整備されてきているが、近年は予期しない災害が多発しており、まだまだ危険な箇所が多い」と述べ「地域を盛り上げるためにも、港の整備や地域交通ネットワークの整備は欠かせない」と管内の現状を分析した。
 これまで経験した中で、国土交通省港湾局への出向を含め12年も勤めた港湾関係行政事業が思い出として残る多田耕治所長。とりわけ最初の本庁港湾課では、1999年6月、中津港が重要港湾指定されたのを受け、同年11月には国の港湾審議会で港湾計画を改訂する必要があり、(今では考えられないが)徹夜で計画を策定したのを真っ先に上げた。「当時の平松守彦知事の審議会でスピーチに傾聴する委員の姿と、その場の厳粛さにとても感動したことを覚えている」と感慨深げに話す。また、「平成の大合併を受ける形で、国東にあった8港(伊美、櫛来、岐部、熊毛、向田、富来、国東、武蔵)を国東港の一つに統合し、資源の選択と集中を可能とした。平成の港湾合併の取り組みは日本全国で初めてのケースになり、全国各地からその手法の引き合いなどが多くあった」と懐かしむ。
 当面の課題は「国道217号の戸穴BPや古江丸市尾線の道路改良、国道388号畑野浦楠本BP、色宮港木立線の新しい(仮称)浦代トンネルなど、地域の振興と災害に強いネットワークづくりを進めていく」と語り「近年の台風などで浸水被害を受けた提内川、久留須川、井崎川の整備を進めるとともに、原木の輸出などで整備の要請が高まっている佐伯港のふ頭用地拡張も進めていく」と述べる。また、「県内でも急傾斜地が多い管内では、2023年度補正予算などを活用して約20カ所で設計・測量・工事を進めていく」と、運営方針を掲げる。
 土木事務所の運営について「まずは業務の効率化とともに健康管理にも努めてほしい」と述べ、「71人と大所帯のため、困った時には、相談にのれるように、一人一人の得意分野を記入した座席表を作成した。これを通じてお互いのアドバイスができるような環境づくりに努めていく」と話す。
 建設業界には「17・18年度と豊後大野土木事務所で、綿田地区の地すべり対策に当たった。地元住民も含め、県、市、警察、建設業者などの関係者が、24時間の監視体制で得た、斜面の動きや工事の方法、進捗の情報を共有しながら復旧工事を進め、被害を最小限に抑えることができた」と振り返り、「建設業協会支部中心に建設業者の方々が一致団結して、2次被害防止のため、対策にスピード感を持って対応してくれた。こうした、発災時における業者の皆さま方の迅速な対応に大変感謝している」と述べた上、「担い手不足の中で厳しい業務環境が続くと予想されるが、引き続き社会資本の整備にご支援をいただきたい」とさらなる連携を呼び掛けた。
 趣味は、プロの将棋を見ること。「10手くらいは棋譜を見て図から追っていけるが、それ以上になると難しい。大分合同新聞の棋譜は20手くらい掲載するので、とてもとても…」と笑っている。
 妻と娘を大分市高尾台に残しての単身赴任は「豊後高田での経験もあり、寂しいがあまり苦にはならない。佐伯は寮母さんが居るので助かっている」と本音を話してくれた。大分市出身の57歳。
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