大分建設新聞

インタビュー

渕野 勇さん(県農林水産部長)

2024年06月06日
1989年入庁、財政課財政企画監、障がい者社会参加推進室長、市町村振興課長、農林水産部審議監、豊肥振興局長などを経て、4月から現職。
 2年前の豊肥振興局長着任時から2回目のインタビューに対し、「今回は遠慮させてもらおうかな」と言いながらも笑顔で応じてくれた渕野勇部長。
 「豊肥振興局長の時に、大分県を支えている基幹産業はやっぱり農林水産業だなと実感したところだが、農林水産部長になってあらためて農林水産業の幅の広さを実感している」という。「今、県の長期総合計画を策定しているが、地域の人口減少は避けられないので、これからはより一層現場の生産性向上が重要だと思っている」と話す。そうした状況の中で「農林水産業の成長化に向けた取り組みや方向性を長期総合計画の中で示して行きたい」と抱負を語った。
 農林水産部が所管している事業は、治山から漁業まで極端に言うと山の頂上から海まで非常に範囲が広い。農業・林業・水産業とあるが、これからの農林水産業の展望を考えていく中で注目している事業を尋ねると、「農業では、ニーズの高い園芸品目があるので、大規模園芸産地の整備を積極的かつ大々的に進めること。園芸産地づくりは、既に安心院でブドウや茶の栽培を大々的に始めているが、県内各地には、他にも候補地がたくさんあるので地域の声を聞きながら進めていく」という。「林業については、木を『伐って、使って、植えて育てる』循環型林業がとても重要になる中で、伐期を過ぎた大径材が県内にはたくさんあるが、そういったものをうまく活用したい。そして、大径材を伐採した後、早く育つ早生樹を植えることで、CO2削減になり循環型林業の実現にもつながる」と話す。「水産業は、今年11月に『第43回全国豊かな海づくり大会』が開催されるので、これを契機として水産業を盛り上げていく」と述べて、これらを着実に実行する方針であるとした。
 農林水産業の整備には決して建設業は欠かせない。「人口減少が進む中で、次世代につなげる農地の基盤整備が必要だと感じており、大規模園芸団地の推進で、絶対に必要な基盤整備をしっかりと実施していかなければならない。また、災害発生時は、スピード感のある対応で早期復旧に全力を挙げることで、将来に備え、安定的な財産を残すこと。そのためには災害時の対応に建設業の力が必要となる。これまでも本当に感謝しかないが、引き続き協力をよろしくお願いしたい」と期待を込めた。
 最後に「過疎が進む中、今のうちに中核を担う方々に地域を支える力を蓄えてもらう支援を行いたい。農林水産業だけでなくコミュニティーを持続可能なものにしていく」と力強く語った。
 趣味を聞くと、前任の豊肥地域は酒蔵が多く単身赴任していたので日本酒、焼酎、地ビール、ワインなどをしっかり堪能した。「今でも晩酌が楽しみ」と語る大分市在住の58歳。
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