大分建設新聞

インタビュー

馬場 ヒロ子さん(日本連合警備㈱社長)

2024年08月21日
 素敵な笑顔で「父が創業し、母、私で三代目です」と語る、日本連合警備㈱(大分市上宗方)の馬場ヒロ子社長。県内に10支店、従業員数400人を抱える女性社長へ、業界に携わった経緯や今後の課題について話を聞いた。
 大分市内の高校を卒業後、海外の文化に憧れ、福岡の大学で英文学を学んだ。卒業後は大手広告代理店に就職。「家業を継ぐことは想像していなかった」と言う。結婚後は夫と共にアメリカのハーバード大学へ留学する。「子ども2人を連れての海外移住、現地で仕事をしながらの勉学は大変だったが、良い思い出」と当時を懐かしむ。
 30歳を超え、日本に帰ってきた時は母が社長業を継いでいた。「父が大切にしてきた会社、それを守るために奮闘する母はとにかく大変そうで、自分が支えなければと思い、業界のことは全く分からないまま入社した」と話す。不安はなかったか尋ねると、「海外生活のおかげで『言葉が通じるのだから、なんとかなる』と、大した困難に感じなかった」らしい。
 入社後は「まずは現場から」と、制服姿で警備の現場に立った。野外イベントの警備、建物の常駐警備などを一通り経験し、そこからは営業、総務など社内業務にも携わった。「バイタリティー溢れる母に鍛えられた」と苦笑するが、肉体的にも精神的にも、努力を重ねていたであろうことが透けて見える。母の跡を継ぎ、2011年、社長に就任した。
 警備の業務内容は、交通誘導や機械・施設警備、現金輸送など多岐にわたる。「全てに共通する課題は価格転嫁の難しさ。時給単価の上昇に加え、深夜や残業の割増分など、お客さまの理解を得るための交渉が難しい」と馬場社長は話す。
 次いで人手不足・高齢化問題を挙げたが、「定年後の人でも、健康であれば働ける。子育てが一段落した主婦の方なども貴重な戦力だ」と述べ、人材については、まだまだ掘り起こす余地があるとも語った。
 従業員との関係については「引っ張っていくよりも、後ろから押すタイプ」と言う。「先頭に立つことよりも、正しい方向へ間違わずに皆を押し出すことを心掛けている。実は後ろからの方が見える物も多い」と、笑顔で話す。
 仕事での思い出を訪ねると、00年に開かれた「九州・沖縄サミット首脳会合」の会場で、各国首脳の警備通訳を務めたことを話してくれた。まさに、学んだ知識、自身の経験の全てが生かされた瞬間であった。
 趣味はヨガ。スタジオで週に1~2回、しなやかな動きと呼吸を意識し、体中の空気を入れ替える。―「しなやか」―周囲への気遣いを忘れず、環境と時代に合わせて先を見る、馬場社長を表す一番しっくりくる言葉だ。
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