陽光が降り注ぐ会社の応接室で「10代の頃から、30歳で起業すると決めていた」と笑顔で語る、日伸建設工業㈱（杵築市山香町）の大庭浩司社長（57）。出身は北九州市で、この大分で起業した。これまでの経営手腕と積み重ねた経験によって、舗装工事の技術が九州管内でも高く評価されるようになった。また、今年４月の大建協杵築日出支部総会では、新しく支部長に就任。今後の目標について話を聞いた。
　親が建設業に従事していたため、学生時代から地図を変えることができる建設業界に興味を抱いていた。とりわけ、生活に密接した「道路をつくる」ことに引かれ、大手の舗装会社に就職。「完成した道路を走る時の爽快感は、何物にも代えがたかった」と言い、そのやりがいと達成感に事業の手応えを掴んだ。「起業に向けて、20代は舗装工事や土木などの知識、技術について研さんを積み、人脈を広げた」と語る。
　１９９６年に30歳で独立。大分での勤務が長かったため、現場工事で関わった杵築市山香町を起業の地に選んだ。「最初は社屋もなく、プレハブからのスタートだった。社名には『日々、伸びていく』という願いが込められている」と、当時を懐かしむ。命名通り会社は順調に業績を伸ばし、現在の従業員数はグループ会社を含めて82人。その内13人（16％）が女性社員だ。
　「会社で最も力を入れて取り組んでいることは、ＩＣＴ施工の内製化」と力を込める。社内でＩＣＴ推進室を立ち上げ、勉強会・体験会などを積極的に行っている。次に挙げたのが女性活躍推進だ。「５年後までに女性社員率30％を目標としている。男性にも育児休暇の取得を推進し、会社全体で女性が働きやすい職場を目指している」という。２０２１年には、県内建設業で初の子育てサポート認定企業の証「くるみん」を取得。24年にも同じく県内建設業で初の女性活躍推進企業に贈られる「えるぼし認定段階３」を取得した。
　杵築日出支部の特徴については、「企業間の連携が取れており、団結力がある。災害発生時には常に先頭に立ち、一秒でも早い復旧に向けて協会全体で対応していくパワーがある」と話す。また、「今後はＡ～Ｄランクまで全ての協会員から聞き取りを行い、いま何に困っているか―などの現状をヒアリングしていきたいと考えている。課題を具体的に把握し、一緒に解決していける方法を模索したい」との思いを述べた。
　趣味は、30年近く続けているゴルフ。「会社の社員たちと２カ月に１度、九州や本州の神社巡りをするのも楽しみだ」と言う。
　道をつくり、さらにその先へ。目標へ向かって進み続け、時には道を切り拓くこと―社名の通り、大庭社長の歩みが止まることはない。