大分建設新聞

四方山

吉野ヶ里探訪記

2024年10月25日
 まさに、稲刈りが始まろうとしていた10月。スポーツの日を前にして、秋晴れに恵まれ遠出をしようと、佐賀県の吉野ヶ里歴史公園まで足を運んだ。稲穂が実る黄金色の田園が広がる中、弥生の集落が存在する風景。古代のロマンを満喫してみたいと想像した▼以前、この地は佐賀県の工業団地を造る計画が持ち上がったが1986(昭和61)年から行われた遺跡の調査で、邪馬台国を思わせる大規模な環壕集落や建物跡が発見されて全国から注目を集めた。私も当時、毎日のようにテレビや新聞で報道されるニュースにくぎ付けとなった▼公園は「弥生人の声が聞こえる」を基本テーマにつくられたという。92(平成4)年に、国営吉野ヶ里歴史公園として国と県が一体となって整備することが閣議決定された。現在、敷地面積は約107㌶で当時の施設を復元。集落を囲むように巡らされた環壕(大きな空堀)の内側に、北内郭や南内郭、甕棺墓列、北墳丘墓などが存在する。また、数カ所のイベント広場もある▼昨年度から、未調査である「謎のエリア」で10年ぶりの発掘調査が行われている。調査で、邪馬台国時代の石棺墓が発見された。報道各社は、人骨や副葬品は見つからなかったものの、内部から赤色顔料が確認され、弥生時代後期における有力者の墓であることは間違いないと報じた。また、石棺墓の石蓋3枚には「×」などが描かれた線刻も話題になった▼公園は、支配層が住んだ住居、高床倉庫、外部を監視する物見やぐら、祭りごとを決める主祭殿が復元され約2000年前の弥生の世界を感じたかった▼当時の服装をしたガイドとコースを歩いていると、近くのイベント広場から「アンパンマン」の歌や語り声が。ん、弥生時代に「アンパーンチ!」だと?いったい、ここは何時代なんだ?(勇)
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