書店減少
2024年11月05日
近年、全国で書店の減少が憂慮されている。2003年に約2万1000店あったのが、23年には約1万1000店にまで約半減している(出版科学協会調べ)。大分市でも23年7月、ジュンク堂書店が28年間の営業に幕を閉じた。出版文化産業振興財団が調べた全国で書店の存在しない自治体の統計(本年8月時点)によると、広島と香川が0%。一方、長野・奈良・沖縄では50%超。意外だが、大分県は書店のない自治体は11・1%で比較的低い▼書店減少の要因としては、読書離れによる来店客数の減少、ネット書店との競合、再販売価格維持制度によるコスト転嫁が困難―など、要するにもうけが少ないことだろう。取次への多額の保証金は新規参入の障壁に▼この4月、経済産業省は書店減少に歯止めをかけようと「書店振興プロジェクトチーム」を起ち上げた。課題として、粗利率を抑制する流通慣行、書店規模を優先した配本、新規出店の難しさ―などを挙げて、読み手、国や地方自治体それぞれが何らかの動きをすることに期待が見える。「読み手」を含めているのがキモだ▼民間と地方自治体の動きも活発化してきた。10月17日、大手取次のトーハンがHONYALという小部数の仕入れができ、新規参入のハードルを下げる仕組みを始めた。ほかにも大手書店チェーンと大手取次の日販が組んで、出版社との直接取引や書籍買切制を進めるブックセラーズ&カンパニーという新会社も誕生。また地域住民と行政が一緒につくる青森「八戸ブックセンター」など、地域の本好きが連携する新しい取り組みも注目される▼私の考えでは、書店の数よりも店の個性を大切にしてほしい。本をつくる、選ぶ、売る、買う、読む、伝える人が共に考えることが大事。本を魅力的に並べて見せる場が必要だ。(コデ)