大分建設新聞

四方山

亜脱臼

2024年11月06日
 米大リーグ・ワールドシリーズを制したドジャース。喜びを爆発させる選手たちの真ん中には、大谷翔平選手の姿があった。活躍もさることながら、ヤンキースとの決勝の一戦では、左肩の亜脱臼を抱える中での出場だった。さぞかし痛みが走ったことだろう。だが、そんなけがをもろともせずに、グラウンドを走る背番号「17」は、日本人として誇らしかった▼大谷選手の件で、脱臼には2種類あることを知った。人の手を借りてでしか関節を戻せない状態を脱臼としているのに対し、自力で関節を戻せる症状を亜脱臼と呼んで区別している。もちろん、ともに激痛が走るのは言うまでもない。となれば、衆院選の結果、これまでのかたちで政権を維持できなくなってる自公政権は、深刻な脱臼状態のようだ▼では、誰の力を借りるか。取り沙汰されているのが「野(や)党」でも「与(よ)党」でもない、いわば「ゆ党」的な立場を明確にしている国民民主党だ。衆院選で解散前の4倍の議席を獲得し、キャスティングボートを握った自信の現れだろう。弱り切った自民、公明両党の足元を見透かしたように、国民が差し出した「踏み絵」は相当なものだ▼所得税の課税対象となる「103万円の壁」の178万円への引き上げや、ガソリン税の引き下げなど超大型減税である。報道によると、毎年10兆円規模の税収減になるという。一体、どうやってまかなうつもりなのか。またぞろ国債の乱発というのであろうか。ますます円の価値は下がる▼大谷選手は岩手・花巻東高時代に「人生設計シート」を作成していた。26歳の項目には「ワールドシリーズ制覇」と書き込んだ。4年遅れでの目標達成である。40歳で引退試合、58歳で帰郷…という具合に続く。だが日本の未来設計は空欄のまま。政治の貧困である。(熊)
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