ハローキティと日出町
2024年11月08日
日出町の町制70周年を祝って、日本郵便九州支社は記念の切手を発行した。一瞬、町内在住で知名度の高いスーパーボランティア、尾畠春夫さんの肖像写真が…という考えが頭をよぎったが、町内にあるハーモニーランドにちなんで、キティちゃんが起用された。なるほど、「ハローキティとくらすまち」を掲げる同町にはふさわしい▼キティちゃんと言えば、1960年創業のサンリオのオリジナルキャラクターで、国内だけでなく、海外でも広く知られている。日本語の「かわいい」は、そのまま海外でも「KAWAII」で通用するようになったのも、キティちゃんの功績が大きいとか。生みの親はサンリオ創業者の辻信太郎氏。96歳の今も現役の経営者でもある▼山梨県の出身。垢抜けた社名は「山梨(さんり)の王」を目指す大望が秘められているという説もある。それに比べると経営の理念は分かりやすい。「みんななかよく」。17歳の時の空襲体験に根ざしているという。1000人を超える犠牲者を出した山梨県甲府空襲である▼生家は焼け落ち、妹を背負って火炎の中を逃げた。戦争をなくすためにはどうすればいいか、と真剣に考えたという。ひらめいたのが、誕生カードを贈ったりする輪が広がれば世界中が仲良くなれるはずというアイデアだった。そして始めたのが子どもの小遣いで買えるギフトグッズの開発。「KAWAII」の根っこには「平和」があった▼一方、北朝鮮の暴走が止まらない。ウクライナの紛争地に軍隊を派兵させたかと思えば、今度は大陸間弾道ミサイルの発射である。「みんななかよく」という概念はないのであろう。サンリオの製品は世界130カ国・地域で販売されているが、残念ながら北朝鮮は空白地の一つ。ああ、キティちゃんがいてくれれば…。(熊)