大分建設新聞

インタビュー

高齢者住宅環境整備ボランティア会(日田市)

2007年11月16日
 今から十年前の平成七年一月、樋口健一郎さん((株)ヒグチ設計社長)の「お年寄りの住まいを俺たちの手で直してあげたいんだ。協力してくれないか」の一言に賛同し、集まったのは20人。建築、木工、左官、土木、造園、板金、塗装、内装…いずれもその道のプロたちだ。  志を同じくする人たちの話は早い。すぐさま「高齢者住宅環境整備ボランティア会」を結成、その年の四月には、旧日田市内の65歳以上の高齢者で単身者と高齢者のみの世帯を対象に、工事の希望者を募った。  最初の申し込みは16件。それが徐々に増え、この10年間で560件を施工した。今では、多い年は80件を超える申し込みがある。  本業を圧迫するほどの忙しさだが、「修理が終わった後、お年寄りが最高の笑顔で『ありがとう』と言ってくれたのを聞いてこっちまで嬉しくなって…。あの笑顔があったからこそ今まで続いてるんですよ」と、事務局長の武下徳一郎さん(武下建材(株)社長)は当時を振り返る。  工事は、サッシや建具の修理から床、天井の張り替え、電気製品の修理や移設、庭木の枝打ち、階段の手すりや浴室のバリアフリー化など多岐にわたるが、その多くを材料費のみの実費で施工している。  「支払可能な方には人件費を半額程度いただくことにしてますが、実際はほとんど無償です。それに、中には生活の苦しい方もいますから、その場合は会の基金から補てんすることにしてます」と、武下さん。  地道な努力が報われた。十六年度バリアフリー化推進功労者表彰の内閣官房長官表彰を受賞。昨年十二月三日に官邸で表彰式があった。  この受賞は大きな励みになると言う武下さんは、今後について「合併で旧郡部も対象になるので、その方面でやってくれる業者さんを見つけることと、これまで以上に忙しくなりそうなので、ある程度マニュアル化しつつ、できるだけ多くの方の要望に応えたいと考えてます」と話した。  全くの手弁当で十年間も続けてきた情熱は並大抵ではない。会の皆さんの志の高さに、ただただ頭の下がる思いがした。




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