大分建設新聞

インタビュー

道路サービス(株)(大分市)

2007年11月16日
 大分市曲の道路サービス(株)(藤島善法社長)が、魚礁「YURAGI・MO」(藻のように揺らぐ、の意)の製作販売を始めた。陸から海への挑戦だ。  同社の本業は、主に交通安全施設や構造物補修補強工事で、ほかには造園やモニュメント製作などを請け負う。それが、どのようないきさつで魚礁に至ったのかを開発に携わった藤島智彦常務(33)にうかがうと…。「きっかけは、02年の新潟県中越地震に関係があります」との答えに謎は深まるばかり。「実は、あの斜面崩壊現場の落石防止処置に漁網が使われたのです。当社ははじめ、落石防止用素材として漁網に興味を持ち、製作している長崎県の粕谷製網(株)に接触したことが、結果的に魚礁につながったわけです」との説明に納得。ちょうど、公共事業の受注量減から、新分野参入を検討していた同社にとっては、まさに「渡りに船」だったという。  だが、全てスムーズに運んだわけではなかった。第一に、社内に魚礁についての知識がある者がいなかった。開発は始めたものの、行政側の専門家にアピールするためには相当に勉強を重ねなければならなかった。研究を進め、販売網を広げるために、「YFN(YURAGI・MO Fish Nuersary)研究会」を設立した。  こうした努力が認められ、このほどYURAGI・MOが国交省の建設業振興基金の助成モデル事業に採択された。  素材は有害物質を含まず半永久的耐久性を持つ。藻のように揺らぎ、実地試験ではイカの産卵場、稚魚の育成、藻の着床に成功している。常務はさらに、「重量も軽く、運搬は一般の漁船を利用できるので、地元漁業者に工事費を還元できます」と漁民へのアピールも忘れない。  「将来、YURAGIの普及が埋立や護岸工事で激減してしまった水産資源を復活させ、水産物の水揚げを伸ばして輸入に頼る漁業を救えたらと思っています」と新製品に託す夢を語った。




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