大分建設新聞

インタビュー

瀧 満さん((株)エムゼック(中津市)社長)

2007年11月24日
 8年前、中津の老舗、瀧工務店の息子さんが新しい会社を起こして建築業を始めた。厳しい状況の中で、なぜ起業なのか。  「瀧工務店の名前を捨て、一からスタートしたかった。平成3年の台風19号で、新築の家さえ倒壊した。その時、家を建てて売る者として、考えた。安い材料を使い完成度の低い家なのに、『大丈夫ですよ』と口にすることは、うそをつくことに等しい、と感じた。価値ある家とは何か、を考え続けた結果、心機一転、やってやろうの気になった」と、きっかけを話す。その意気込みは社名にも表れている。エムゼック(M・ZEC)のMはマンパワー、Zは先進性、Eは卓越性、Cは建設を意味するという。  8年前、理想と思える工法に出会った。「ソーラーサーキット工法」という外断熱・二重通気工法だ。当初は、技術面ばかりでなく、資材調達にも苦労した。何しろ、坪単価20万円台の家がバカ売れの時代に、坪70~80万円の高い家である。「やり遂げなければ、起業した意味がない」と、持ち前の粘りで、一つひとつクリア、理想の家にたどりついた。  現在、2階建ての事務所をソーラーサーキット工法で新築中。外の温度と室内では5度以上違うという。「完成したら遊びに来てください。快適さが体感できますから」と自信ありげに、誘われた。  販売は、インターネットで。「お客様はインターネットで本当に良い家を探す。こちらからの売り込みというより、ほぼ100%がお客様からの申し込み」だそうだ。それも、8年間で50棟の実績は北九州市や福岡市がほとんど。  モデルハウスも開設しているが、見学は1日2組限定。「この家のよさを十分に体感してもらい、これからは、中津市を中心に大分県内にも広げたい」と考えている。ただ、「どんな状況にあっても、慢心、油断は禁物。将来性は未知なのだから」と自らを戒める。  将来性も、販売できるかも未知。“先駆者とはそういうものだ”と前向きに考えられたのは、「小学校から大学まで続けた野球のおかげ」と熱く語る。  忙しい中、表千家の茶道を習っている。「精神統一に良いので、ぼちぼちやっていくつもり」と自然体の人。老舗のしがらみから開放されて、いばらの道に飛び込み、顧客、取引先、社員、家族の信頼を絆と考えている。「正直、瀧工務店という体制を守っていたら、今の発想はなかったかも知れない」と話した。




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