大分建設新聞

インタビュー

戸次 正市さん(ヘツギ土木緑地建設社長)

2007年11月24日
 異才の人だ。若い頃から人生を”設計”し、その設計図をもとに事業を起こして独自の道を切り開いてきた。  高卒後、北九州市の造園会社で10年間働きながら独立を決意。造園業者の少ない佐賀と大分に絞り、結局出身地の大分でヘツギ土木緑地建設(株)を創業。  30歳の時だった。「大分を選んだ理由は新産都計画で人口が増える」と戸次さんはみた。間もなく結婚するが、奥さんを選ぶ理由がまたユニーク。「声がよくて話し上手。容姿は二の次」。客の注文は電話でくる。その時感じのいい事務員でないと困るからだ。「ところが容姿も抜群だった」と今ではノロケ話に。  造園業を中心に土木工事、解体工事など業容を広げながら、何か他にはないものを、独自のものを求めて戸次さんは考え、探し続けた。「造園用の土で真砂土というのがある。大分ではあまり使われていないが、花崗岩が風化してできた土で水はけがよく、土ぼこりが立ちにくい特長を持っている。この土を探して20年ほど前、当時の大野町(現豊後大野市)でついに見つけた」。  ここから会社の成長が始まる。山を買い掘削許可を取って販売を開始。ところが造園向けより、県の教育委員会が学校の校庭用に最適と注目して受注急増。一躍同社の主力商品に。  戸次さんのアイデアはさらに広がる。「この土が適度の硬度を持っているのは石英を含んでいるため。この特長をもっと生かせないかと考え、雑草の生えない土の開発を思いついた」。  真砂土に砕いた石灰の固化材を混合する実験を繰り返し、約1年後に雑草の生えない土『ハーデンソイル』を開発。SYMM工法と名付けて現在特許申請中だ。この工法の特長は現場での施工が簡単なこと。道路や庭の表面5~10cmに混合材を敷設し、圧力をかけて固め、水を散布したあと自然乾燥させる。 「環境にやさしい工法なので土壌汚染の心配もない」と戸次さん。ところでSYMMの意味だが、実は2人の娘、2人の孫の名前の頭文字を並べたもの。どこまでも異次元の発想に近い人だ。大分市役所1階ロビーには孫の写真入り広告看板が堂々と掲げられている。  これからの目標は、九州一円を舞台にハーデンソイルの代理店ネット作りを進めること。「社会にとって役に立つものを持っていれば、どんな環境になっても通用する」。激烈な生き残り競争の現実の中で、戸次さんの自信は揺るぎない。




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