大分建設新聞

インタビュー

榎田 悦和 さん(エノキダ塗装)

2007年11月24日
 北九州で育ち、5年の修行ののち21歳で塗装職人となった。その後宇佐市内の塗装会社に就職、3年前に独立してエノキダ塗装(宇佐市富山)を設立した。  まさに「職人気質」の言葉がぴったりの、日々努力の人。「官公庁の仕事にしても、一般住宅など民間工事にしても、大事なお金を使っていただくのだから、少しでも安く提供できるように努力しています。材料費や人件費を削れば安くすることは簡単だが、お客様に満足していただけなければ意味がない。低価格でいかに良い仕事ができるか、試行錯誤の毎日です」と、顧客本位。  もとより職人としての腕は確か。社内の工事予定表はぎっしりと埋まっているが、全く営業活動はしていないという。社長の腕を見込んだ各所から、直接依頼の声がかかるのだ。職人として手抜きのない、無駄を省いた仕事が信頼されているのだろう。  しかし、この業界の職人も、ご多分にもれず今や減少傾向。榎田さんは「私が修行をしていた当時は職が無く、食べていくには職人になることが得策だった。今は就職口も多く、豊かになったこともあり職人が少なくなっている。その対策として『職人を育てる』」ための投資も必要。私たち職人の仕事に素人が入ってきても、当然のことながら全く役に立たない。一人前になるには数年はかかるが、その間も、しっかりとした給料を支払わないと職人は生まれない。一人の若者に投資することで職人としての業を継承させていきたい。私がいて、職人がいてこそ会社が成り立っているのだから」。後継者育成にも、熱い心を持つ。  社内には「お疲れ様です」と書かれた冷蔵庫があり、中には缶コーヒーやジュースがぎっしり入っている。疲れて帰ってきた職人への社長からの心遣いである。榎田さんは、今や薄れつつある職人文化を大事に守り続けているのだ。




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