大分建設新聞

インタビュー

嶋津 康裕さん((株)三邦社長)

2008年02月20日
 強風に弱い業務用雨どい(樋)を強力補強する、新工法・専用金具の販売で注目されている企業がある。昨年暮、大分市の流通業務団地に新社屋と工場を建設した(株)三邦という、建設板金資材の加工・販売会社だ。  同社は社歴わずか27年で、年商22億円。嶋津康裕社長は「昭和56年に脱サラして妻と二人で小じんまりとやるつもりだったが、予想外に大きくなってしまった」と苦笑する。成長の秘訣を聞くと「秘訣はない。顧客拡大は念頭になかった。常に技術を磨き、どんな些細な不良品も見逃さず、仕入先のメーカー、商社や販売先のユーザーに信頼される仕事に徹してきた」。その結果、採算割れの安請け合いの仕事は受けず、「一番難しい仕事だけが来るようになった」という。日々の誠実な仕事がそのまま成長に結びついたわけだ。三邦という社名の由来も、客、仕入先、自社の「三方良し」からとったそうだ。  同社が扱い始めた新工法・専用金具は山形県の(株)茜谷商店(茜谷聡社長)が開発した「SA工法」で、金属製折板屋根に取り付ける塩化ビニール製の雨どいを専用金具で補強するもの。SA工法では格段に強度が増し、工期短縮が可能で、屋根材の腐食を抑えるメリットがある。また、専用金具の使用方法次第でコストを削減する効果もある。全折板メーカー、全雨どいメーカーに対応。なおかつ雨どいのサイズを問わない。  嶋津社長は、三邦新工場建設でSA工法を採用し、そのメリットを実感した。「大型の角どいは風に弱く、補強材を現場ごとに製作するので手間も費用もかかる。SA工法ならコストを下げて強度を上げられる。意匠もすっきりしていい」。もともとは積雪地域対策のために開発された工法だが、山間地、海岸など強風地域の物件に提案していきたいと、代理店として県内はもとより九州全域に広めていく予定だ。  誠実一筋の社風を支える最大の課題は人材の育成。従業員や顧客の声が直接社長に届き全員が納得して仕事に立ち向かえる環境づくりに努めている。人集めは難しいが、入社すれば社風になじみ、定着率は高い。  建設業界の経営環境は厳しい。成長を続けてきた同社だが、売上げ、利益率が落ちる中、開発中の新製品も一時止めている。機を見た「しんぼう」も、企業の維持、成長には欠かせない。


昨年末に大分市に新設した工場

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