大分建設新聞

インタビュー

青木 茂さん(青木茂建築工房主宰)

2008年02月27日
 「建築廃棄物の削減や自治体の財政難という課題を解決するためには建築物もリサイクルする時代だ」と、既存の建物の主要部分だけを残し、外観を一変させて新しい建築を生みだす「リファイン建築」を提唱、実践している青木茂さん(青木茂建築工房主宰)。老朽化した建物の80%を再利用しながら、建て替えの60~70%のコストで大胆な意匠の転換や用途変更、耐震補強を可能にする建物の再生技術だ。県内では宇目町役場庁舎や野津原町多世代交流プラザの実績がある。  「建物余りと人口減少で2050年には日本の新築着工がゼロになるという予測もある。既存の建物を活用するリファイン建築の意義は大きい」。リファイン建築研究会を立ち上げ、自ら会長を務める。同会には県内大手建設関連会社が会員に名を連ねる。建物の再利用は、これからの建設業界の大きなビジネスチャンスだ。  リファイン建築の評判を聞きつけた日出町から町中央公民館改修への助言を求められたのがきっかけで、日出町のまちづくりに参画している。青木さんは「日出には海城という県内の他の地にはない風景がある。そして城下カレイ。風光明美な景観と豊かな食文化をもっとアピールすべき。ひとつの建物だけでなく、まち全体のデザインが大切だ」と、歴史・現在・未来の3つのゾーン整備を町に提案。暘谷城跡の前面の町道を日本庭園風に設計し、着々と工事が進んでいる(1月9日付本紙既報)。  「新しい建築は点としてのインパクトがあるが、それだけではだめだ。少なくとも3つの点が必要。3つの点があれば、つながって面になり、まちに広がりができる」。しかし、行政トップダウンでは、複数の点、面的広がりは実現しがたい。とかく各段階で各方面からのブレーキがかかりがちだ。「まちづくりは地域の人が主体になって気運を盛り上げるべき」と。地元の人々と交わり、直接考えを伝える機会が欲しい、と語る。  大分市に住み、大分と福岡に事務所を置くが、首都大学東京の戦略研究センターの教授も務める。「大分で生み出したリファイン建築の手法が東京の課題に役立つのがうれしい」。大分と東京、福岡を行き来する生活。加えて海外講演など、活動は世界に広がっている。21世紀の大きな課題を背負い走り回る、忙しい日々だ。


日出町のまちづくりにも参画している青木さん

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