大分建設新聞

インタビュー

飯田建築設計事務所(大分市)

2008年06月04日
 (株)飯田建築設計事務所が開発した「シンカ工法」という束なし・二重床架構法と北海道立北方建築総合研究所の技術「面輻射床暖房システム工法」を組み合わせた工法が、全国で初めてという全館床暖房システムとして別府の老人ホーム白雲山荘で採用された。  飯田郁夫社長と共にシンカ工法の開発に携わった今村靖治副社長にそのシステムについて話してもらった。「白雲山荘は、湯温99度という温泉源を所有し、近くに沢水が流れるという好条件が揃っていて、天然資源を最大活用できたことがコスト削減と快適住環境提供につながったのですが、シンカ工法とそれを理解していただいた施主なくしてはシステムの採用はありませんでした」(今村)と施主が建設会社だったことに感謝する。  その工法とはどんな工法か?「ビーム固定金具を床に張り巡らせることで、床下のスペースを配管や収納スペース、それに遮音に利用できる工法です。当初は、梁を逆にすることで、一般の天井裏部分が床に来たような構造でした。今では、階高を低く抑えるために正梁の増打スラブ工法を採用しています。国交省から遮音性能5の特別認定を受けた希少な工法なんです」と今村さん。  今村さんは、昭和61年に清水建設(株)大分営業所長として大分に赴任。その時に出会った飯田建築設計事務所の独自技術、「大分工法」にほれ込んだのが、その後のシンカ工法開発と改良を飯田社長とともに進めることになったきっかけという。  シンカ工法の原型であるルネス工法は、日経BP建設部門技術賞、快適住宅コンテスト最優秀賞など数多くの賞を受賞した技術で、実に31件にも及ぶ特許を取得している。その後、シンカでも特許6件を加え、まさに進化する工法だ。  事務所が所在する大分市高城新町のルネスビルは、同社の実験棟でもあり、床下利用の浄水器、除湿機の設置や堀こたつ、収納庫などをいつでも見学できる。共同住宅の設計施工に興味のある方なら一見の価値ありとお勧めしたい。 


今村晴治副社長


束なし床下構造のシンカ工法

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