大分建設新聞

インタビュー

工藤 義見さん(日出町長)

2008年06月17日
 「合併する」「しない」で町を二分した16年の町長選で、合併をしないことで当選した。単独での町政運営は困難が予想されたが、行財政改革を進めてきた結果、町財政は改善し、自立の方向性は定着しつつある。町民からは、要望への迅速な対応と行政手腕を評価する声が高い。  就任当時から心がけているのは「まず、自分の町を知ること」。そのために、町の歴史と文化を徹底的に洗い出した。「江戸時代、外様しかも傍系の日出藩・木下家は、親藩に囲まれ監視されながら最後まで取りつぶされずに残った。奇跡的だ。苦労があっただろうが、落ち度の無いように気を遣っていたに違いない」。そこに日出町の原点があるという。自立した単独での町政運営の在り方を重ねて見ているのだろう。  「町内には貴重な歴史、文化遺産が残る。単に復元・保存するのではなく、都市化、市街化の中で歴史性を大切にしたまちづくりを進めたい」とこれからの方向性を語る。歴史的な町並みは景観条例を制定して保護していく考えだ。一大プロジェクトである暘谷駅・高校跡地利活用事業では「城下町らしい景観」を審査項目とし、都市施設の中にいかにして歴史や文化を取り込むかを、課題として投げかけている。  町長期計画では「人と自然が調和したふれあいと活力あるまち」が基本理念。その趣旨は「日出町は今も昔も交通の要衝で、温暖で災害が少なく湧水にも恵まれている。その魅力ゆえに高齢化率は大分市に次いで低く、労働力人口も年少人口も多い。活力を秘めた町で、努力すれば必ず成果があがる」と、企業誘致、人口増加による町活性化に取り組む。自立した町は自分たちの手で、とNPOやボランティアと協働のまちづくりを推進し、名物観光イベント「〝ザビエルの道〟ウォーキング大会」を立ち上げるなど成果を上げてきた。  建設業界へは「まちづくりにボランティアとして協力してほしい。さらに農業への参入など、都市化と第一次産業の活性化の両面で力を貸してほしい」と呼びかける。大建協杵築速見支部でも社会貢献活動を実施するとしており、業界をあげての町づくり参画で、町、業界双方の発展が期待できそうだ。 略歴  熊本大学を卒業、昭和37年、県職員に。大阪事務所長、商工労働部次長を経て企業局長を最後に平成10年、退職。16年に町長当選。昭和13年生まれ。




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