大分建設新聞

インタビュー

片岡 登喜男さん(県北部振興局長)

2008年08月20日
 主に本庁の農業、農政関係分野に籍を置き、トップとして「外」に出たのは北部振興局が初めて。県北の第一印象は「元気だなあ、という感じ。中津(ダイハツとその関連企業進出)の活気が元気の基でしょうね」。  広瀬県政が最重点課題の一つに挙げているのが農業の再生。もちろん北部担当のトップとして、これが最大の仕事になる。「宇佐平野は九州有数の穀倉地帯。コメの生産高は県内の3割を占め、麦や大豆などの構成比も大きい。それだけにここでの農業再生が県農業の今後を左右するといっても過言ではない」と責任の重さをひしひしと感じている。  県は今後3年間に県内外の企業100社の新規農業参入を目標にしている。既にお茶やトマト、イチゴ、カボスなどで企業の参入が活発化しており、今後も建設業などの参入が期待されている。「今年は30社ほどの企業が農業を始める計画だ。今のところ建設業は半分以下の数だが、私は、お茶の生産などは重機を持つ建設業に向いていると思う。栽培から収穫まで機械化できるノウハウを持っており、これまでに県内で数社が茶栽培に取りかかっている」と、片岡さんは建設業と農業の相性も大切だと語る。  「一番効率的なのはやはり食品産業」とも。自ら生産して加工するという自然な流れを作れるからで、建設業などとともに、食品業界も〝ターゲット〟の一つ。  しかし農業も厳しいから、企業もなかなか踏み切れない。「建設業でみても、仮に100社が農業参入に興味と希望を持っても、本気で起業を考える会社は1割ぐらいではないか。そして実際に農業を始めても、軌道に乗せることができるのはその中の1割程度だと思う。しかしこのまま座していても、建設業だけで生き残ることは、大変だと思う」と片岡さんは現実をシビアに見つめる。  片岡さんは言う。「今の建設業界で常時仕事がある企業はあまりないのではないか。多くの企業は受注不振で社員がフルに働く状況にはないと聞く。そこで思うのだが、そうした余剰労働力を農業に”人材派遣”するようなセンターを作れないものか」と。建設業と農業再生への一つの方策となるかもしれない。  「問題も、解決策も現場にあり」と言う現場主義の人だ。好きな言葉は福沢諭吉の「独立自尊」。      (略歴)昭和51年、鹿児島大学大学院卒、同年県職員に。農政企画課参事、園芸振興室長、研究普及課長、前任の農林水産企画課長などを経て、今年4月、現職。56歳。




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