大分建設新聞

インタビュー

安部あき子さん(豊樹園)

2008年10月01日
 今年度の県大分県土木建築部長表彰で、県庁舎議会棟の屋上緑化が造園工事の部で受賞した。施工した(株)豊樹園(大分市)の現場代理人が安部あき子さん(28)。造園といえば高い木に登って枝をせん定する職人の姿を想像しがちだが、安部さんの印象はたとえるなら野の花といったところ。  彼女が今回採用した工法が、キキョウやスミレなどの野の花などを使った自然林復元工法だからまさにお似合いだ。その工法は、在来種で樹林化することで外来種の繁殖を防ぎ自然環境を保持、復元するというもの。県の地場産業育成モデル工事にも指定されている。  安部さんに工事で工夫した点を聞くと、「生育基盤にウッドチップを使う工法なので、過重制限があり保水性が必要な屋上緑化には最適でした。それに施工個所を里山、海浜、草本と3つのゾーンに分けて、それぞれにその環境に生息する県産材を多様に使った点が、県がプロポーザルで当社案を採用した決め手になったのではないかと思います」と工法の利点を挙げる。ほかにも、「人工的でなく自然で季節の変化も出るようにしました。ただ、風の強い場所なので高木を使えず立体感を出せなかったのが残念でした」と振り返る。  緑化工事とはいえ、楽にはいかなかったようで、その強い風によって敷設を終えたばかりの防根シートがめくれてしまい、工期が遅れる災難にも見舞われたという。「完成写真も撮り終えていたので、泣きそうになりました」と安部さん。 自然林復元の数少ないエキスパートの安部さん。今後も県内に自然林を増やして地球温暖化防止に活躍してくれそうだ。  出身は兵庫県。普通の道を選びたくなくて、たまたま実家の近くにあった兵庫県立農業高校に入ったのがこの道に入るきっかけとか。その後、大分短大園芸科に進み、卒業の年に大分であった緑化フェアの事務局に就職。フェア後に豊樹園に。  業界に若い男性が少なく出会いがないためか、目下恋人募集中とか。野の花のように可憐な安部さんのこと、すぐに趣味の音楽や映画を一緒に鑑賞してくれる人が現れるのは間違いなさそうだ。




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