野田侃生国東市長
2008年10月09日
民間企業の社長から市長に就任して1年半が経過した。「合併後に部長職ができたためか、責任体制・連絡体制がうまくいっていない。普通の組織ではあり得ないことだ。組織面に手を加えなければ」と、民間の経験を生かして市政改革に取り組んでいる様子。「15年後には道州制が否応なしに導入されるだろう。そうなれば地方分権で仕事がいっぱい増える。その時に対応できるように今から体制を整えなければならない」と、10年以上先を見通して仕事をする。
インタビューしたこの日の夕方、武蔵支所に出向いて全所員を集めハッパをかけた。「仕事にはスピードが必要だということを職員は理解していない。建設工事も年度内に発注して予算を消化すればいいという考えだ。それでは建設業界が困る。速やかに発注するように指示する」と、市内の公共工事の減少の影響を少しでも緩和したい意向だ。
市の公共事業について「10年先、市の人口や年齢構成など市がどのような姿になっているかを想定し、身の丈に合った市になるように施策を講じていかなければならない。だから私の在任中はハコモノはつくらない」と、これも10年先を展望する。加えて「今後は維持補修と中山間地の整備が中心になるだろう。しかしライフラインとしての道路の整備は不可欠で、市内を循環する道路の整備を県にもお願いしている」と、必要な道路の整備については積極的な構えだ。
50近くある危険ため池の対策も大きな課題である。「地元負担が5%ということもあり、年間2ヵ所がやっと。これでは困る。全額国負担でできるように市長会でお願いする」と語る。また、市は全域で耕作放棄地の調査をする。これも10年後の市の姿を見据え、国政や世界情勢などをにらみながら農業振興策や市の整備の方向性を打ち出すためだ。
国東市には小規模集落が各地に点在し、県内でも多い方だ。人口は年間500人ほど減少し、若者の市外流出が続く。今後人口減と高齢化は避けられない。その中でどのような市を築くのか、民間出身の野田市長に期待したい。
昭和18年10月12日生まれ。41年3月、慶応大学商学部卒。46年10月、国東物産(株)創業。平成19年3月、国東市長就任。趣味は柔道で、国東高校時代は3年連続インターハイに出場。現在6段。