佐藤 啓治さん(大分工業高土木科教諭)、「土木は3C」で熱血指導
2009年04月17日
今年の入試時期前に、佐藤啓治先生に1本の電話がかかってきた。受験生を持つ母親からだった。「息子が急に土木科を受けたいと言い出しました。土木には、将来どんな仕事があるのでしょう」。突然の質問だった。「最近の土木は、単なる3Kではありません。確かにきつい仕事かもしれませんが、ただ物を造るのではなく、環境に配慮したり、デザイン性を求められたりと、とてもクリエーティブな仕事なのです。社会の基盤を支え、また知的なものが要求されるとても素晴らしい仕事ですよ」と答えた。その母親は、「これで安心して受験させられます」と答えた。1本の電話から、土木への理解者を増やせたことがうれしかったと言う。
大分工業土木科の科章は「Civil Engineering」の「C」だが、これをとって、生徒たちに「土木は3Kではなく3Cだ」と教える。3Cとは「クリーン・クリア・クリエーティブ」。これをモットーに教育活動に熱を込める。「入学当初は、正直、土木の世界へ進みたいと希望する生徒は40人中ほんの数人。それが、3年後にはほぼ半数の生徒が何らかの形で土木に関係した進路へ進んでくれる。これが一番誇らしい瞬間」と笑う。
一つのゴールに、チームワークで、全力をもって立ち向かう。これが土木の醍醐味だという。昨年まで同校ラグビー部の部長という立場で、チームワークの大切さを部活動の場でも教えている。
根っからの土木好き。「土木についてだったら、一晩中でも熱く語れます」そうだ。他の先生も、それを聞き、笑いながらうなずいた。県内の土木業界を担う若手の基礎を、日々鍛えてくれている頼もしい先生。工学博士で、測量士でもある。現在、県高校教育研究会の事務局長も務めており、多忙だ。
休みの日は、近所のオヤジたちで始めたソフトボールチームで汗を流すのが楽しみ。学校という限られたエリアでは得られない外の世界の情報も、ここから入手する。このチームには同校卒業生もキャッチャーとして参加しており、教え子とバッテリーを組んでいる。