大分建設新聞

インタビュー

安東貢一郎さん( 国東土木事務所長)、住民目線で整備推進

2009年05月07日
 東京事務所での仕事は、年度末ぎりぎりまで詰まっていた。国東土木への着任前日、やっと飛行機に乗り、まだほとんどつぼみの東京の桜に後ろ髪を引かれながら大分に戻った。着陸直前、眼下に開けた景色に強い感動を覚えた、という。「上空から見た国東半島は、山桜が咲き誇り、海岸線も美しかった。自然環境や史跡を守りながら、整備を進めなくては」。これがそのまま、着任にあたっての抱負となった。  生まれは豊後高田市。学んだ小学校は分校で、複式学級。「田舎でしたよ。川で魚をとったり、山で虫をとったりしました」と語る、生まれ育った土地のすぐ隣りの国東は愛着のある土地だ。「今後は新しいものはなかなか造れない。維持管理にどんどん切り替わっていくのは仕方のないこと」と言いながらも、地域住民との対話の場から、住民のための道路整備の重要性を再認識したという。国道213号や県道などの2車線化、歩道整備を「住民の方へのサポート」ととらえ、高齢者や児童の安全を一番に考えたいと話す。  直前の2年間は、県の東京事務所勤務。県と国交省との間で、情報収集や情報発信をしてきた。「道路特定財源が一番話題になった時期。その現場を目の当たりにできたことは、良い転機であり、大きな刺激でした」という。  これまでの仕事で一番心に残ったことは、と聞くと、ある用地交渉が難航したこと、と答えた。「いくら公益のためとはいえ、地権者の方々に生まれ育った土地を手放して頂くのです。お気持ちがわかるだけに、こちらも辛かった」。また、平成5年の台風による、竹田の水害も経験している。夜間は事務所で待機し、夜が明けると職員で手分けして緒方川を調査した。道路が寸断されていたため、ほとんどが徒歩だったという。「やっぱり、現場が楽しいですね。今はさすがに無理ですが、現場はいいです」と、第一線の楽しさを強調した。  好きな言葉は「一隅を照らす光」。自分に与えられた場所で、一人ひとりがそれぞれに光り、その場その場でベストを尽くそう、という意味だ。「それが全員の心にあれば、良い事務所にもなるでしょう」とにこやかに笑った。  52歳。二人の息子さんは巣立ち、奥様と二人暮し。趣味は東京時代に楽しさを覚えたウォーキングと、読書。読書は、できるだけジャンルを絞らずに幅広く、がモットー。      略歴  昭和56年、九州大学大学院土木工学科卒。同年、県職員に。初任は都市計画課。日田、大分、竹田、別府各土木事務所勤務。前任の県東京事務所行政課参事を経て、この4月、現職。




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