大分建設新聞

インタビュー

戸次正市さん(ヘツギ土木緑地建設)、シイタケの本格生産

2009年05月21日
 「このまま手をこまねいていてもしょうがない」。戸次正市社長を異業種参入に突き動かした原動力はこの危機感にある。雑草の生えない土「ハーデンソイル」の販売で知られるへツギ土木緑地建設(株)(大分市)が、今度は農林業分野で、本格的なシイタケ栽培と販売に乗り出した。  6年前、趣味でシイタケ栽培を始めた。原木250本、シイタケの種コマ5000個だった。3年前に、原木1500本、種コマ3万個に規模を拡大して本格的な栽培を始め、今年は原木4250本、種コマ8万5000個に拡大。将来的には種コマ20万個の規模にし、販売額1000万円を目指す。  2年前、大分県椎茸農協に加入した。乾シイタケは種コマを原木に打ち込んでから出荷までに2年かかるという。昨年の12月と今年1月の2度で、約100㌔を出荷し、50万円売り上げた。  今後の販売計画をうかがうと、「これからはインターネットで、直接お客さんと取引したい」という答え。現在、主力商品である「ハーデンソイル」とともに、シイタケの販売情報も掲載するため、同社のウエブサイトを作り変えているのだとか。  「インターネットで販売しているハーデンソイルは、一般的な知名度がないのに好調な売り上げを維持している。インターネットは、うまく使えば大きなマーケットになる。加えて、『大分乾シイタケ』は日本一のブランド。収入の大きな柱になってくれるだろう」と戸次社長は意気込みを語った。  原木は豊後大野市にある山林6㌶で調達。栽培から収穫、乾燥、加工は、大分市松岡で一貫して行っている。昨年は、乾シイタケのスライスや真空パック詰めを試作した。商品ラインナップの拡大にも余念がない。  数年前、中国産農産物の残留農薬問題があったことなどから、国産シイタケを見直す動きが出てきていて、取引価格は上昇傾向にある。その一方で、県内のシイタケ栽培の経営環境は、山林での重労働に加え、生産者の高齢化や後継者不足などで厳しさを増している。同社の参入は、いずれは、少なからず県内のシイタケ生産の力となりそうだ。




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