開静子さん(元県収用委員)、女性不動産鑑定士の草分け
2009年10月07日
元大分県収用委員会委員で、多年にわたり公共の利益と私有財産との調整に尽力した功績で、大分市の開静子さんが今年度の建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰を受賞した。
大分県知事認可第1号の不動産鑑定事務所である(株)長嶋不動産鑑定事務所に、設立間もない昭和44年春から勤務。不動産鑑定士制度の試験に合格した女性の草分け的存在(九州では第一号)だ。長嶋敏行社長のすすめで、積極的に資格をとり、キャリアアップにつとめてきた。そして高度経済成長期の公共工事の増大の歴史とともに仕事を拡大してきた。
県収用委員会に登用された女性の第一号でもある。15年間委員をつとめたが、代執行(いわゆる強制収用)は一度もない。他県では「私権は、公共の福祉に適合しなければならない(民法第一条)」とばかりに一刀両断に収用を進める場合もあるそうだが、大分県の委員会は地権者の権利保護に十分配慮する、という理念があったようだ。地権者の、収用した後の権利を保護して理解を得たこともあり、そのような場合は「冥利(みょうり)につきる」という。
減少傾向の公共事業について「工法、ソフト面で工夫し、いかに少ない費用で県民が満足できる事業ができるかが課題になるでしょう。主権在民だから、住民はもっと発言すべき。大分駅南の開発でも、議員だけでなく住民がもっと参加すべきです」と訴える。そして、その中で建設業界の技術者が住民の声を代弁・支援し、収入を得る仕組みができないものか、という。
公共工事の計画についても審議会など行政のおぜん立ての上に乗るのではなく、もっといいものをつくるために住民が前に出るべきだという。そのために「建設業界も新しい技術を勉強して、とんでもない技術を生み出してはどうか。いろいろな技術が組み合わさると新しい技術が生まれる。そのためにアンテナを張っていくべきだ」と業界に提案する。