大分建設新聞

インタビュー

大政浩一さん(日本銀行大分支店長)

2010年02月08日
 東京大学工学部電子工学科を卒業して日銀マンに。異色ですね、との問いに、「電子工学の、あまりミクロな世界に入っていくのはどうか、と」。なるほど、日銀はマクロ経済(大きな経済の流れ)の司令塔である。そこで大分県のマクロな金融状況について聞いてみた。「大分県の金融機関に日本銀行券(紙幣)を供給しているが、県内に落ちない」という。自分ではそれほど県外で買い物をしているつもりはないのだが、大きなお金の動きでは、県内で使われるお金が大都市に集まる仕組みになっている、どこの地方都市もそうだ、という。やはり、地方は貧しいのか。  入行以来、新入行員時代を除いてずっと本店勤務。地方の支店長勤務は大分が初めてだ。昨年11月に着任。大分は「自然が豊かで温泉もいっぱいある。人もあたたかく住みやすい」と感想を語る。ところが東京にいたころは、大分について何も知らなかったし、大分の食材を食べたこともなかった。「影が薄いのでしょうかね。もっと大きい規模で、戦略的にアピールしてもいいのでは。観光分野は中国などに売り込むと効果があると思う」と言う。  そして「これほど産業集積がある地域だとは知らなかった。九州でもめずらしい」と、評価する。しかし県内経済は「大手の出先機関がいっぱいあるのにもかかわらず、その波及効果がないのでは」と。しかも、リーマンショックの打撃をもろに受けた県で、最近の経済回復も大手企業の輸出増頼みなのだ。「グローバルな中でのカネ、モノの流れの中にある。国内の大きな設備投資は期待できないだろう。その中でちまちまやっていても、縮小均衡にしかならない」と危ぐする。  時代の変化の中での県内金融のかじ取りは難しい。しかし「これからの金融はやはり、企業の経済成長に基づくものでなければ。そして中小企業の収益が回復しないと経済成長にはつながらない。地域の経済を見守る金融機関として、大分の活性化にひとつでも役に立つことを発信したい」と抱負を語った。




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