藤田三吉さん(新成建設社長)、適正価格での受注を推進
2010年02月16日
県建設業協会の土木委員会委員長として、県の入札制度の改革に向けて、数々の要望、提言を寄せている藤田三吉さん(新成建設(株)社長)。
「最低制限価格の設定は低すぎる。昨年春に中央公契連モデル(最低制限価格や低入札価格調査基準価格の算定を70%~90%の範囲内に設定)に準じて改正されたが、決して採算の合う金額ではない。公共工事の費用は安ければいいというものではない。積算単価は、建設物価の調査や労務費の調査が適正な市場価格として公開されており、それをもとにした積算が適正な受注価格だ。長崎県や佐賀県は中央公契連モデル上限の90%にしている。90%程度がなんとかやっていける水準であり、90%にすべき。それに1億円以上の工事の低入札調査価格は最低制限価格の水準へと一本化すべきだ」と主張。
厳しい経営環境が続く中、地域の建設業が持続的に発展することができるよう、適正価格での受注を推進し、工事品質の確保、建設業者の健全な経営と下請業者の保護などのため、国の低入札価格調査の基準に準拠してもらいたいと強く要望する。
政権交代による公共工事の削減についても、異議を唱える。「かつて公共工事は失業対策事業のような役割を持っていた。特に地方では兼業農家の現金収入だった。農業の振興にも役立っていた。それがなくなると兼業農家が減り、田畑が荒れ、地域の荒廃が進んだ。公共工事は地方の生活・経済のカンフル剤だったのだ。公共工事は税金のムダ遣いというが、地方にはムダな事業などない。地元の強い要望のもと、不可欠な事業が進められているのだ。地方自治体も我々業界も、批判される理由はない、と声を大にして言うべきだ」。
公共工事に対する不評ばかり気にしていては地方の業者は生き残れない、という。「今、必要なのは若い力と発想と、技術の継承。優秀な若い力が入ってくる魅力的な業界になるべきだ」と、人材育成の重要性を訴えた。