大分建設新聞

インタビュー

六田 克美さん(中津労働基準監督署長)

2010年04月23日
 現在、県内ではただ一人の女性署長。ご本人にとっては8年ぶりの現場勤務。実は20年ほど前にも中津で勤務していた。「中津はどんどん変わってて、頑張ってるよね」と久々の任地の印象を語る。  今、県北地域は大きな転換点を迎えている。自然と話の流れは管内の大型事業のことに。「東九州自動車道、中津日田道路も宇佐・高田・国東の焼却施設も、みんな必要な工事だよね」と、建設業界の動向には高い関心を持っている。  「大きな会社が分社化して、地元の企業になっている。大企業はアクセスを含めて立地を考えているから、アクセスがよくなったら、会社は来てくれるよね」と、親しみやすい語り口で、インフラ整備の重要性を語った。  管内の事業についての話をしていると「県内の業者さん、(入札に)入れるといいよね」と、たびたび気にしていたのが印象的。その姿はまるで弟を気にかけるお姉さんのよう。建設業界にとっては〝頼れるお姉さん〟である。  署長としてのテーマはもちろん〝労働災害ゼロ〟。会社の安全、社員の健康が確保されなければ、会社の発展はない。「企業の労務などのインフラ整備」が監督署に求められている。  同署には相談員を含め、13人が勤務する。基本テーマは「和」。それぞれの部署が意思疎通・情報共有をして、風通しのよい職場づくりを心がけている。  話が建設業の労働災害に及ぶと、語り口が次第に熱を帯びてきた。労災の大きな要因は知識不足にあるとみている。誰だって危険な目に遭うのはイヤに決まっている。それが危険だと知らないから、危ないこともしてしまう。  もし知識不足でなければ、それは管理体制と気の緩み。会社や現場監督が現場に集中できない環境にあると、リスクは増大する。「事故の予兆は必ず現れる。それを見逃さないで」というのが署長の願い。  家庭では2男の母。ご主人が単身赴任中のため、大分市内から長距離の通勤を余儀なくされている。通勤に時間をとられ、なかなか趣味のテニスを楽しむことができない。「本当は『趣味は料理』って言いたいんだけどね、実績がなくて…」とお茶目なコメントも。 略歴  一橋大学を卒業後、昭和55年、労働省に。大分労働局監督課を皮切りに、三重(現豊後大野)労働基準監督署長、大分局賃金室長などを経て、今年4月、現職。




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