姫野昌治さん(大分銀行頭取)
2010年05月12日
―4月に就任されたばかりで多忙な毎日のようですが、新頭取としての率直な抱負を聞かせて下さい。
姫野 地域の金融機関として、いかに地域の信頼を得るかに全力を注ぎたい。不況のなか、県内各地も厳しい状況にある。それだけに地元の金融機関がまず元気になることが大切と考え、真しな態度でひざを突き合わせて相談に乗る、そんな活動に愚直に取り組みたいと考えている。前頭取の努力で懸案だった内部管理体制づくりもしっかりしてきたし、これから営業体制を構築して行員がチャレンジする風土をつくりたい。
―県内の厳しい不況をどう把握されていますか。
姫野 県内企業の7割は、赤字の状態が続いている。不況の風がやむ気配はない。といって、では残り3割の会社だけを相手にすればいいというわけにはいかない。それでは経済が成り立たない。当行としては、どうすれば黒字転換できる強い会社になれるか、経営改善の道を一緒に考え、取り組んでいく必要がある。それが当行自身の生きる道、経営強化の道につながる。
―地域への営業力の強化ということですか。
姫野 資本面での経営基盤の強化を進めながら、営業力の強化を図る。そのためには行員の営業力育成に注力し、経営改善策を提案できる人材づくりを目指す。3~4年で営業担当者を積極的に増やしたいと考えている。
―建設業も抜本的な経営改善を求められていますが…。
姫野 建設業は受注産業なので景気に左右されやすい。このままではジリ貧になる可能性が高い。そこで求められるのが「提案型ビジネス」の推進だ。当行も異業種参入などをテーマに実践セミナーを展開しており、建設業界への支援をさらに強化したい。最近の成功例をあげると、ガーデニングブームに注目して150万円程度の小規模受注で業績を伸ばしている業者がいる。また、大分市中心部の再活性化など地域の需要創造に結びつく展望も出てきた。知恵を絞ればまだまだ何か出てくるのではないか。その「何か」を当行も考え、ともに提案していきたい。
略歴
昭和50年、慶応大学を卒業、大分銀行入社。審査部長、取締役本店営業部長、常務、専務を経て、今年4月から現職。大分市出身の58歳。