大分建設新聞

インタビュー

松本邦男さん(松本技術コンサルタント社長)

2010年08月10日
 松本技術コンサルタント(株)(中津市)の「ネコヤナギによる護岸の緑化工法」が注目を集めている。  特に都市部の多くの河川で施工されたコンクリート護岸にネコヤナギを挿し木して、川辺の環境を改善する工法。応用生態工学会で発表され、現在ではNETISや県のトライアル発注制度にも登録されている。  ネコヤナギは、幹が細く、コンクリート護岸の強度や耐久性に影響を与えないし、水没枝から不定根が出て、生育が早いため護岸の修景効果が高い。幹や枝が柔軟で洪水に強く、水位変動にも対応する。魚の産卵場所にもなる。  同工法の開発は、「大野川流域における魚にやさしい川づくり懇談会」に参加したのが契機という。「魚の先生に『水際をコンクリートで固めたら魚が育たない』と言われました」と松本邦男社長。そこでネコヤナギに着目、工夫を重ね“環境破壊”を抑える工法の開発につながった。  松本さんは民間コンサル業務の草分け的存在だ。それだけに業界に対する誤解には敏感だ。「ある人に『測量の単価は高い』と言われ、資格者の給与を調べたら、測量士は民間平均より安い。その人の職種と比べると、6割に満たない」と、資料を見せてくれた。建設業やコンサル業務への誤解は多い。  ただ、それ以上に建設業に対する誤解をなくし、一般の人々の理解を深めなければと考えている。積極的にボランティア活動に参加しているのもその思いの表れ。県の土木未来(ときめき)教室に参加し、小学生とふれあうのもその一環。さらに県職員の有志が開く勉強会にも積極的に協力し、発注者と業者の双方でレベルを上げたいと真剣だ。  東京の大手建設会社で鉄道関係の仕事に携わっていた松本さんが、中津市に戻って起業したのが昭和51年。「最初の3年は地獄だった」と振り返るように、当時、設計監理は行政の仕事。昭和60年頃から測量や設計などの業務が民間に委託されるようになり、今では「当時を思うと、こんなに仕事が増えるとは思いもしなかった」と言うように、多くの委託業務が発注されている。  世間の厳しい目の中、コンサル業務のあり方に気を配るその姿は、コンクリート護岸で命をはぐくむネコヤナギに通じる。知人からは「人がいいだけじゃダメ」と言われるが、その人のよさで、業界をアピールしている。




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