大分建設新聞

インタビュー

佐藤 重光さん(サトー運輸会長)

2010年10月06日
 (株)サトー運輸は、舗装大手の前田道路(株)の協力会・瀝友会に加盟し、大分市中戸次の同社大分支店の近くに本社を構え、舗装資材の運送業を営む。道路だけでなく、ショッピングセンターやマンションの駐車場舗装資材運送など、民需も多い。  高度成長期に運送業を始めた。昔は過積載の白トラを重油で走らせてボロもうけ、という業者も横行していたようだ。しかし「時代は変わった」という。「今はコンプライアンス(法令順守)が第一。厳しい時代に姿勢を正してこそ、薄い利幅の中で利益を確保できる」と主張する。  運送業は、ちょっとした物損事故でも、事故を起こせば利益なんか吹き飛ぶ。だから安全第一への取り組みを心がけている。ダンプにはデジタルタコメーターをつけ、速度オーバーしたらブザーが鳴る。運行記録で、安全運転かどうか、アイドリングや急発進などの不経済な運転をしていないか、その日の運転の点数が出る。一方、従業員には無事故の報奨金として月々「無事故手当」を支給し、もし事故を起こしたら損害額の半分を従業員に負担させることにしている。こうした取り組みで無事故を保っているのが、同社の自慢だ。「人間は口だけではどうしてもダメ。機械が管理できるところは機械でやる。そして、従業員にはリスクを負担させたうえでの動機付けが必要だ」という。徹底した合理主義だ。  その原点は、20歳の頃の農業研修で、3年間、米国に滞在したこと。大規模な農場の、機械化された農業を目の当たりにした。米国流は「タイム・イズ・マネー」。作業はどこまでも合理的で無駄がない。ある日、水道の蛇口から水がポタポタと落ちていたのを横目にそのまま立ち去ったら、米国人の監督から「わずかな水漏れも見逃さず止める人間になれ」と叱られた。水がじゃぶじゃぶ出ていたら止めるのは当たり前。小さなことも見逃さないのが大切なのだ、ときつく言われた。その教えは今でもしっかりと心に刻んでいる。  社長を息子さんに引き継ぎ、第一線を退いた。しかし今でも人手が足りなければ、自らダンプを運転するそうだ。「酒もタバコもやらない。仕事が好き」なのだ。69歳。




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