大分建設新聞

インタビュー

小坂正則さん(九州・自然エネルギー推進ネットワーク理事長)

2011年02月22日
 小坂さんは、NPO法人九州・自然エネルギー推進ネットワークの理事長。「民間主導で公共施設の太陽光発電を設置する」という、ユニークな試みを続けている。「県民共同発電所てるてるちゃん」プロジェクトだ。設置費用の約半分は国の補助金、残り半分についてはNPOが「私募債」などで市民から募集する。設置後、自治体は使用した電気料金をNPOに寄付。その寄付金で私募債を返還する。私募債返還後は自治体に発電設備を寄付する、という仕組みだ。16年の大分スポーツ公園へのてるてるちゃん1号機の設置からスタートし、昨年秋の大分市西部給食センターの8号機まで、合計8基約80㌔㍗を整備してきた。公共工事が減る中で、まさに「新たな公」の方向性を示すものだ。ところが残念なことに、事業仕分けで公共施設への太陽光発電設置に対する補助金は来年度以降打ち切られるそうだ。そこで小坂さんは、アパートなどに「てるてるちゃん」の手法で太陽光発電を設置しようと考えている。  太陽光発電の普及と並ぶ同法人のもう一つの事業がペレットストーブ、薪ストーブの普及だ。これは自然エネルギーの普及と並んで、森林再生という目的もある。国土の3分の2以上を占める森林の大半が、荒れ放題で放置されている。間伐など適切な管理ができれば、森林によるCO2の吸収効率も向上する。林業の活性化にもつながる。木質ペレットの需要が増えれば、ペレット工場ができ、県内の産業活性化、雇用促進につながる。荒廃した森林の再生では、作業道の整備など、建設業の果たす役割が大きいことは、米田雅子慶応大学教授(建設トップランナー倶楽部代表幹事)も提唱している。森林の再生は地方の再生に直結する。  とはいえ、自然エネルギーに対する補助制度は「猫の目のように変わるのが難点」と、小坂さんは言う。また、設置・導入に対する支援だけでなく、電力の全量買い取り制度など、新エネルギーを利用できる制度の枠組み整備が必要だと指摘。小坂さんは、市民が発電する自然エネルギーを融通し合うネットワーク(スマートグリッド)を構築して、新たな電力会社をつくるのが夢だそうだ。大分市田ノ浦の山手にある事務所ではペレットストーブや薪ストーブが暖かく燃えていた。このエネルギーが広がり、大分を明るく照らす日が来るだろうか。




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