大分建設新聞

インタビュー

中島謙二郎さん(別府港湾・空港整備事務所課長)

2011年04月13日
 国土交通省別府港湾・空港整備事務所は現在、別府港海岸整備事業を進めている。この事業は、平成5年の台風13号による高潮被害後、同海岸に十分な防災機能を持つ海岸保全施設を整備しようとスタートした。すでに餅ヶ浜地区は整備を終えているが、今年から上人ヶ浜地区と北浜地区の整備が本格化する予定。そこで、事業を担当する中島謙二郎海岸課長に東日本大震災が事業に及ぼす影響などを聞いた。  ―東日本大震災に何を感じましたか。  中島 阪神淡路大震災やスマトラ沖地震の時と違ってたくさんの映像が目に入り、津波のすごさに驚かされました。以前、鹿児島で高潮を経験したり、コンピューターグラフィックで津波の実験シミュレーションを見たりしていましたが、それを上回る自然の力の怖さを改めて感じました。  ―世界一頑丈と言われた釜石湾口防波堤が破壊されたことは?  中島 正直、あれがもってくれていたらと思いましたが、津波の力を4割ほど弱め、また津波の到着を6分ほど遅らせたと聞いていますから、防災、減災効果はあったと思います。それにしても4分の1ほどしか残らなかったのはショックでした。  ―別府湾は大丈夫でしょうか。  中島 最近整備が終わった第4埠頭などは耐震強化岸壁になっています。東日本でも耐震強化岸壁はあまり被害はありませんでした。阪神淡路大震災後の見直しで岸壁の耐震化が進められた結果です。他の海岸も基本は50年に一度の津波・高潮を想定して防災計画を立てています。海溝型の東南海・南海地震帯は日向灘を走っており、津波は、別府湾には豊後水道を通っての侵入型になり、東日本のようにはならないと思います。別府湾では高潮の方が潮位は高くなることが予想されていて、想定値は大潮の満潮時で最大4・9㍍としています。それに耐えられるよう整備します。  ―内陸型の地震に対しては?  中島 内陸型は直接津波発生にはつながらないと思いますが、500年ほど前に噴火型地震で別府湾に浮かぶ瓜生島が津波で沈没したという伝説はあります。内陸型では津波より液状化が心配ですが、耐震化バースはそれに耐えられるようにできています。  ―今後の整備計画は。  中島 今年度上半期に上人ヶ浜と北浜1の整備検討委員会を2回ずつ開いて、その後のワークショップで案を詰めていきます。震災後なので今まで通りにはいかないかも知れませんが、年度内には上人ヶ浜の整備(工事)に入りたいと思っています。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP