大分建設新聞

インタビュー

野村勲さん(川浪組)、AT工法 津波直撃で損傷なし

2011年08月12日
 大分県内で生まれ、全国に広まった橋脚耐震補強工法がある。日田市の(株)アーテックが開発した「AT―P工法」で、工法の研究、普及を目指して活動しているAT工法研究会の総会が、7月21日に東京の品川プリンスホテルで開かれた。研究会の会員で、総会に出席した(株)川浪組(日田市)の野村勲常務に総会の様子を聞いた。  ―総会では、東日本大震災で被災した施工現場の報告があったと聞きましたが?  野村 被災地域にいくつかAT工法を採用した現場がありましたが、宮城県南三陸町の津波が直撃した2橋を調べた結果が報告されました。調査結果によると、がれきによる橋脚表面のわずかな擦れを除き構造に全く損傷を受けていなかったことが分かりました。工法の有効性が確認できて出席者は皆喜んでいました。わずか30数ミリの厚さで補強しただけであの津波に耐えたのですからすごいことです。  ―国内に現場は何ヵ所あるのですか?  野村 平成17年に岐阜県で初採用されて以来、今年3月までに全国で70橋の施工実績があります。今年度に入ってすでに20橋以上を受注していますので、年度内に100橋に達する見込みです。この数字にも出席者は喜んでました。  ―県内では?  野村 一番残念なのが、県内で開発されたにもかかわらず実績がないことです。秋頃に県南で採用が予定されていますが、それが第一号になりそうです。  ―実績ができれば一気に普及するのでは?  野村 そう願っています。我が社も今年橋梁補修の専門技術者を増員のため採用してそれに備えています。コンサルタントに広まると普及が早まるのでしょうが。要望があれば県内どこでも工法の出張研修会を開きますので、ぜひ声を掛けてほしいですね。  ―早く県内に普及するといいですね。貴重なお話ありがとうございました。      (幸) 【メモ】AT―P工法 橋脚表面に軸方向に溝を刻み、その溝内に補強主筋を埋め込みエポキシ樹脂パテで定着させる。その後、帯鉄筋を配置してポリマーセメントモルタルを巻き立て、橋脚を補強する工法。最少34㍉(帯筋D16の場合)の厚さで補強が可能。平成17年に日田市の(株)アーテックが開発し、18年NETISに登録。同年、日経コンストラクションで取り上げられ、全国に普及。研究会の県内会員は(株)佐々木建設(佐伯市)と(株)川浪組の2社。




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