大分建設新聞

インタビュー

原田啓介さん(日田市長)

2011年08月30日
 ─初登庁から1ヵ月。振り返ってみていかがですか?  原田 各部署からの説明を聞くのに忙殺されて、新しい何かを考えるといった余裕は持てませんでした。現状を把握するのに手いっぱいで、早く落ち着いて、市長としての業務に集中したいと思ってはいるのですが。  ─事業説明などを受けて感じたことは?  原田 一言で言えば、現状の厳しさからくる近未来への不安でしょうか。中でも財政的なものが一番心配で、過疎債や合併特例債が近い将来使えなくなることへの不安は大きいですね。  ─財政の見通しは厳しいと?  原田 国が混乱していて先行きが見通せない状態ですから、公共事業や社会福祉のどれをとっても萎縮してしまいます。不測の事態に備えなければなりませんし、少子高齢社会、慢性的不景気の中では、いまあるお金をどこにどう使うかが問題です。厳しい内情を知ったからといって手をこまねいているわけにはいきません。  ─建設業界が一番関心を持つ公共事業についてはどうでしょうか?  原田 新たな産業創出につながる事業を中心に進めたい。中津日田間の高規格道路などは重要ですが、ただ拡幅して終わるのではなく、新たな産業を生み出すための整備を考えたい。小さい企業でも良いから誘致につなげるとか。それと、学校の統廃合で空き校舎をどうするかが問題になってきますが、有効利用出来るよう考えます。高齢者福祉施設も老朽化が進んだ施設が増えているので、建て替えや耐震補強が必要でしょう。また市内には危険箇所が多い。災害に強いまちづくりは必須です。問題は財源をどうするかです。特例債などがなくなるのは本当に痛い。返すアテのない借金はできませんから、次につながる投資しか出来ません。例えば、売電につながる自然エネルギーの開発などですね。  ─厳しい中ですが建設業者にアドバイスを。  原田 意見交換会などを繰り返して意思疎通を図っていきたいと思っています。ただ、要望を突きつけるだけの陳情に来るのではなく、専門的な目で見た都市計画や新技術の提案などで産業インフラ充実のために知恵を貸してほしい。国債発行も難しい国の財政事情を見れば、公共事業費増は非常に難しい。業者の方々には成長産業に目を向けた異業種参入などの自助努力もしてもらいたい。一人でも雇用は守りたいし、業界を失うわけにはいきません。世界的には食料不足が深刻化するでしょうから、農林水産業が基幹産業としてこれまで以上に成長する可能性があります。農場整備などに建設技術を活かせるのではないでしょうか。 略歴  昭和33年12月6日生まれ。日田青年会議所専務理事、千年あかり実行委員会事務局長、日田市観光協会理事、日田場所文化創造機構事務局などを歴任。今年8月、市長就任。




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