多田彰浩さん(NIKKO社長)
2011年09月26日
(株)NIKKOは県内警備業の最大手だ。先日、大分銀行の姫野昌治頭取が同社を訪れ「若い人は失敗を恐れず何事にもチャレンジできるから頑張って欲しい。私は若い経営者を応援する」と、多田社長を激励した。多田社長は「私どものような会社にお越しいただき、ありがたいお言葉を頂戴したのは、何よりも光栄なこと。お言葉を肝に銘じて、頑張っていきたい」と語り、姫野頭取の言葉通り、若さを生かしながら実直に日々まい進している。
若い新卒社員も採用している。県内企業の多くは即戦力を求め、教育の経費もかかるため、新卒採用に消極的だ。しかし多田社長は「長い目でみることが必要だ。若い人は失敗してもいいのだから。だが、失敗から学んで向上することが肝心だ。そうした賢い人材を採用し、育てるためにはコストもかかる」という。そのためには企業として利益を確保しなければならないが、建設現場の警備では積算単価が安く、建設会社への〝逆ざや〟となりかねないため、価格競争が激しい。その中にあって多田社長は「うちからは安値は出さない。労務単価を下げるわけにはいかない。しかし平気でダンピングする会社とは徹底して闘い、それ以上の値崩れを防止する。安値の場合は安全管理費を出してもらうようにお願いしている」と語る。
同社の警備員は、施設警備や機械警備をはじめ、建設現場やイベント会場の警備、交通誘導員としても活躍している。しかし警備員の業務は危険と隣り合わせだ。同社の従業員ではないが、この夏、工事現場の出入口の警備員が、熱中症らしき症状で亡くなったという事例もある。工事に従事する労働者の安全はもちろん、通行人や近隣住民の安全確保のため、建設業も警備業も、事業主の責任は重い。様々な業種の中でも、特に重い責任を担っていると言えるだろう。
警備業は、県民生活の安全で安心な社会基盤を形成するための生活安全産業であるとともに、各種現場の安全確保や災害の防止に欠かせないパートナーだ。価格の適正化と安全確保のため、建設業界、警備業界ともに手を携え、協力関係を築きたい、と多田社長は意欲的だ。