大分建設新聞

インタビュー

大成博文さん(徳山高専教授)

2012年03月22日
 大成博文徳山高専教授(宇佐市出身)が3月末で退官する。国東市武蔵町に新しい研究拠点となる研究所兼住居を建て、先日、山口県周南市にあった(株)ナノプラネット研究所などを移転した。4月1日に開所し、本格的に活動を始める。  大成さんは、これまで取り組んできたマイクロバブル技術を使ったダム貯水池の水質浄化や広島県でカキの夏場出荷を初めて可能にしたほか、マイクロバブル温泉水で血流を促進させる健康改善など生理活性効果も見出していることなどから、地場産品の活性化、健康面への有効利用などに地元も期待している。  今後、新たに(株)光マイクロバブル研究所も設立する予定で、この研究所では「これまでできなかった研究のスケールアップを図りたい」と話す。最近も、ある商社の担当者が浮草を燃料にする研究開発の依頼に訪れた。浮草燃料化の研究は以前取り組んだことがあることから、すぐに話がまとまったという。今後、健康・医療、食糧、環境、エネルギーなどの分野の研究に取り組む考えだ。  大成さんの元には、多くの来訪者があり、移転先を武蔵町に決めた理由も「県外から技術を学びにくる人のために空港が近いことが一番のポイント」とし、さらに東日本大震災の教訓を踏まえ「安全な場所で研究を続けたい」という思いもあったそうだ。  岩手県大船渡市のカキ養殖業の震災復興支援で、通常の約2倍に成長した無放卵カキ「ヴァージンオイスター」を見た島根県隠岐の島海士(あま)町の岩ガキグループが、マイクロバブルでさらにブランド力アップを図ろうと、20日、海士町に大成さんを招いて講演会を開いた。  人間用の血流センサーをカキの心臓に直接当てて測定した大成さんは、通常の2~3倍の血流を確認。収穫時にはカキ筏1台の重量がマイクロバブルで2~3倍になるほど大きく成長するとあって、海士町の漁協関係者の期待も膨らんでいる。  また産業活性化に取り組む多くの企業に対応している大成さんは、「未来技術を理解してレベルアップに取り組まなければ、マイクロバブルを導入しただけでは失敗に終わる。最高の技術に引き上げるためには人材育成が不可欠」と、指導方法の体系化を計画中。「月に一度は研究所と大分高専で交互にセミナーを開きたい」と抱負を語った。




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