大分建設新聞

インタビュー

山中 省吾さん(オープンネット社長)

2012年08月11日
 オープンネット(株)(鳥取県米子市)が、10数年前に生み出した独自の建築受注方式が全国に広がりを見せている。建築工事を元請け工務店や住宅メーカーなどに発注せず、設計事務所がマネジメントをして施主が直接、設計士のアドバイスを受けながら工種ごとに複数の専門工事業者に分離発注する方式だ。  社長の山中省吾さんは米子高専建築科を卒業後、米子市内の設計事務所で設計・監理の実務を学び33歳の時、(有)山中設計を設立。「レストラン建築の設計をした際にマネジメントした施主が直接分離発注した工事が予算内に収まり、工期内に完成できたことが、中間流通を省くこのシステムを生み出すきっかけだった」と山中さん。  オープンネットは平成10年に設立した。建築設計事務所、建築専門工事業者を会員にし、年会費で運営する会社。23年末現在の会員数は、約180社。各地で、勉強会・見学会・相談会などを開いているほか、専門業者会員には物件情報を配信しており、これらを通じて会員は、同社が取り仕切る競争入札に参加し、仕事を得る。オープンシステムで手がけた建築物は、23年7月現在で累計3430棟になり、ほとんどが住宅建築。中には商業ビルや工場建築もあるそうだ。  会員が全国に散らばっているとあって、情報連絡網の整備には力を注いできたようだ。施主や業者への報告や指示は、メーリングリストを使う。「資材の発注確認などを携帯やパソコンからメールすると会員全員に配信され、遠方にいてもネット上でそのやり取りを確認し合えるし、全ての情報を共有できる」という。  山中さんは山口県に住んでいた大成博文徳山高専名誉教授(マイクロバブルの研究者)から「国東市武蔵町に自宅兼研究所を建ててほしい」と依頼を受けた。大分県内には会員がいないため、地元業者と連絡を取り合いながら設計し、その業者に工事を発注、今年3月に完成した。  山中さんにとっても、施主が山口県在住で設計者が鳥取県、建築場所が大分県と、3者全員が遠方というのは初めての経験。大成さんは「遠方ということもあって予算オーバーを覚悟していたが、予算内どころか余ったのには驚いた」と、中間流通を省く利点を実感したという。  山中さんは「このシステムに興味がある方はホームページを見て下さい」と、大分県の業者との関わりが増えることを期待している。


「大分県の業者にも参加して欲しい」と山中さん

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