大分建設新聞

インタビュー

篠塚重暢さん(長谷川体育施設)

2012年12月20日
 老朽化した大分市営陸上競技場の改修工事が、28年ぶりにNIPPO・朝日JVの手で進められている。来年1月には、複合弾性(ウレタンチップ)舗装を施した、第一種公認の全天候型陸上競技場が完成する。  舗装工事に携わっている福岡市の長谷川体育施設(株)は、全国のシェア40%を誇る。あらゆるスポーツ施設をプロデュースし、天然芝や全天候型グラウンドなど、多種多様なサーフェイス(舗装表面)を立地条件に合わせ施工している。  工事管理者の篠塚重暢さん(41)は、大学では建築を専攻したが「スポーツ施設を造る会社」という同社に興味を持ち、平成6年に入社。以来、工事一筋に全国を駆け回っている。中学時代は陸上の選手だっただけに、競技場のトラック舗装がどのように仕上げられるのか関心を持ったようだ。  陸上競技場の工事は、施主から普通の工事よりもっと精度の高い仕上がりを要求される。同競技場の工事も、厳しい要求に応えられるだけの技術を持つ元請けのNIPPO・朝日JVをはじめ、ヨコハマ弾性舗装システム(株)(東京都港区)などの職人、施工者すべてが頭を切り替えて、施工しているという。  中でも苦労するのは、元請けが手がける下地の部分。「表面に出てこない部分の水勾配をどう取るかが一番難しい。元請けが下地部分の仕上がり高さをミリ単位で調整し、我々は、選手が記録を狙えるよう舗装表面の硬さなどを調整する。表面のエンボスパターン(舗装表面の凹凸)形状にこだわりを持ち、この形状いかんで、スパイクで蹴った時に横ブレしたり滑りやすくなるので、記録が左右される可能性が出てくる」と。  篠塚さんは、これまでの経験を基に微妙な調整をし、最高の仕上がりにこだわっているが、先輩の「するなら競技者の目線、造るなら造る人の目線、絶えず自分の目線でものを言うな」の言葉を教訓に、完成と同時に施工の手順に手落ちが無かったかなど反省するという。  これまで手がけた一種陸上競技場は大分で4ヵ所目。3年前に完成した東平尾公園博多の森陸上競技場もその一つだ。「これまで手がけた施設を、地図や飛行機で上空から見るたびに、この仕事に就いて良かったとつくづく思う。利用者に満足してもらうだけでなく、感動してもらえるような施設を造るのが目標」と語る。 


「利用者に感動してもらえる施設を造りたい」と篠塚さん

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