大分建設新聞

インタビュー

遠嶋 幸弘さん(開成建設工業社長)

2013年04月12日
 (株)碑成園(宇佐市安心院町、遠嶋ひとみ社長)は、開成建設工業(株)(同町、遠嶋幸弘社長)の関連会社。安心院の耕作放棄地を農地に蘇らせ、現在15㌶の茶園で茶葉を生産し、「おーいお茶」ブランドの(株)伊藤園に納入している。  茶栽培を始めたのは19年。同町は、昭和40年代に国営事業でブドウ団地が造成され、最盛期の総面積は、500㌶にのぼり、「西日本一のブドウ団地」といわれた。しかし、担い手の高齢化や後継者不足などで、今は約250㌶まで減少。耕作放棄地が増え、有害鳥獣の温床になるなどの問題を抱えている。  遠嶋さんは「この耕作放棄地を地元の建設業者として、なんとかしなければいけないとの思いが強かった。そんなおりの18年に県と宇佐、杵築、臼杵3市が、伊藤園との間で、耕作放棄地を活用する100㌶の茶産地育成協定を結んだ。これが茶栽培に参入したきっかけ。今は、急須でお茶を淹れる文化が廃れつつある。ペットボトルで日本の文化を継承する伊藤園の姿勢に感銘を受けた」と動機を語る。  土壌調査、金属製ブドウ柵の撤去、天地返しなどの整備をし、4年間で15㌶を植栽し、24年5月に初出荷。収穫最盛期の作業には40人以上が必要となり、地元雇用にも貢献している。  「耕作放棄地の活用は、建設業だからこそできた。ノウハウがなければ、土づくり、排水環境の整備など何もできない。田舎には人が少なく、建設業にも人がいないが、経験と保有資機材などを生かせば何かできるはず。人口が減れば、『何もできない』と、負のスパイラルに陥る。それを防ぐためにも建設業として、地域貢献を続けていく」と遠嶋さん。地元農業の衰退を何とか食い止めたいという一念で奮闘する毎日だ。  目標を聞くと、「栽培面積を35~50㌶に拡大し、自前の茶葉加工施設を建設する。もちろん本業もさらに発展させたい」と熱く語った。  県と伊藤園の協定による茶産地育成事業は、25年度から2期目に入り、さらに100㌶の新たな茶畑造成を計画している。  同協定に基づいた、建設業の茶栽培参入は、日出町の(株)昭和建設工業グループの農事組合法人カヤノ農産(杵築市=現在35㌶。50㌶に規模拡大を計画)と(株)碑成園の2社。     





耕作放棄地を再生した15ヘクタールの茶園

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