大分建設新聞

インタビュー

滝口 定義さん(県西部振興局長)

2013年07月03日
 「管内は、県内で一番広いエリア。言葉は筑後弁が混じり生活文化も個性があり、先々の可能性を感じる」と管内を一巡しての感想。豪雨災害の被災地に出かけ、復旧工事の進捗状況も見てきた。「まず農地、林地と関係施設の復旧を最優先に、全力で取り組む」と表情を引き締めた。  急を要する災害復旧は当然として、通常の事業で最重点にしているのは、林業振興。「日田は県内最大の林業地帯。杉は全国有数の産地だが、未利用の林地残材が非常に多く、その処理が大きな課題。残材を燃料にする天瀬のグリーン発電所が11月に稼働を始める予定だが、チップ換算で年間7万㌧を処理できるので、木材の切り出し地を集約化して効率化を図り、作業道も整備する」。  林業の一環でワサビの生産拡大にも取り組む。「産地は県内では津江地区のみで、生産量(24年)は46㌧。ピーク時に比べ約半分に落ちている。県には市場から200㌧の需要が来ているので、林間栽培とハウス栽培の両建てで生産を増やし、当面3年計画で倍増の90㌧に持っていきたい」と意欲を燃やす。  農業では、ナシの輸出。「18年に始まった台湾への輸出が伸びており、特に仲秋節と春節に需要がある。栽培技術や貯蔵技術の向上など輸出拡大に向けた産地の取り組みを支援する」と言う。  昨年の豪雨災害時は土木建築企画課長。「建設業者さんの献身的な災害復旧と災害防止活動が県民の目に焼き付いたと思う。特に被災地では、建設業の存在をどれだけ心強く感じたことか。そんな業界も公共投資の減少で、この10余年は厳しい状況が続いて、疲弊している。それだけに、業界としても若い人材確保に取り組んでもらいたい。県も産業育成の観点からいろんなバックアップが出来ると思う。建設業の必要性は理解できている、今がチャンス」と。  職員には、着任早々、危機管理の観点から変化への適応力とスピード感を身につけてもらいたい」と話した。「振興局は目の前に現場がある。施策を直接伝えられ、反応がわかり、それが次の施策につながる。生産者のアイデアが施策になることもあるので、何の事業であれ、現場第一主義を徹底的に磨きこみ、着実に前進させたい」と語る。  日田勤務は初めてだが、企業誘致を12年間担当し、サッポロビールの用地買収から操業、日田キヤノンマテリアルも用地買収から関わった。  日出町の自宅に妻、子供2人を残して単身赴任。56歳。   略歴  昭和54年、九州大学法学部を卒業して県職員に。企業立地推進課参事、同課長、前任の土木建築企画課長を経て、今年4月、現職。




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